
せっかく片付けたのに、また食べちゃった…
愛犬が自分の便(うんち)を食べてしまう「食糞(しょくふん)」は、多くの飼い主さんにとって、最も深刻で悩ましい問題行動の一つです。

体に悪影響はないの?
どうやったらやめさせられるんだろう?
食糞は、決して病的な異常行動とは限りません。
子犬の頃から見られる本能的な行動である場合と、環境や心理的なストレスから生じる場合があります。
原因を正しく理解し、適切な対策を講じることが、食糞を卒業させるための第一歩です。
この記事では、食糞の主な原因を3つのタイプに分け、それぞれの原因に応じた具体的な対策と、すぐに始められる実践的なトレーニング方法を徹底解説します。
愛犬の食糞はどのタイプ?「3つの原因」
食糞の原因は、大きく分けて「本能・習性」「栄養・消化」「環境・心理」の3つのタイプがあります。
愛犬の食糞がどのタイプに当てはまるかチェックしましょう。
タイプ1:本能的・習性的な原因
特に子犬の時期に多く見られます。
これは、「食べて処理する」という、わんちゃん本来の習性が関係しています。
| 原因 | 詳細 | 該当するわんちゃん |
| 母犬の行動の模倣 | 子犬は、母犬が巣穴を清潔に保つために、子犬の排泄物を食べて処理する行動を見て学習することがあります。 | 生後6ヶ月未満の子犬。 |
| 好奇心・遊び | 特に子犬は、口を使って世界を探求します。便を「遊び道具」や「関心のあるもの」として認識して口にすることがあります。 | 生後6ヶ月未満の子犬。 |
タイプ2:栄養・消化器系の原因
食べたものから栄養を十分に吸収できていない場合に、排泄物に含まれる未消化の栄養素を取り戻そうとすることがあります。
| 原因 | 詳細 | 該当するわんちゃん |
| 消化不良・栄養不足 | フードの消化率が低い、または合っていない。排泄物に未消化のフードが多く残っている。 | フードを変えたばかりのわんちゃん、老犬、膵臓や腸の機能が弱いわんちゃん。 |
| 食事の質の低下 | 安価なフードなど、犬が消化しにくい穀物や添加物が多いフードを与えている。 | フードの切り替え後。 |
| 極度の空腹 | 食事の量が少ない、または次の食事までの間隔が長すぎて空腹を感じている。 | 食事制限中のわんちゃん。 |
タイプ3:環境的・心理的な原因
食糞の最も多い原因の一つです。
「叱られたくない」「構ってほしい」といった心理状態が食糞行動を引き起こします。
| 原因 | 詳細 | 該当するわんちゃん |
| 排泄を叱られた経験 | 過去にトイレの失敗で叱られたり、鼻先を押し付けられたりした経験があると、「便がある=飼い主に怒られる」と学習し、証拠隠滅のために食べてしまう。 | トイレのしつけに失敗した経験があるわんちゃん。 |
| 退屈・ストレス | 留守番時間が長い、運動不足、遊びが足りず退屈している。飼い主の気を引くために食べてしまう。 | 留守番が多いわんちゃん、過剰な興奮を見せるわんちゃん。 |
| 注目(構って)の要求 | 食糞したときに飼い主が「ダメ!」と大声を出したり、追いかけたりすると、わんちゃんはそれを「構ってもらえた」と勘違いする。 | 飼い主の関心を引こうとするわんちゃん。 |
原因別!食糞をやめさせる「3つの対策」
食糞を解決するには、原因に応じたアプローチが必要です。
【行動・心理的】「食べて損、食べないと得」を教える
食糞の最大の原因である心理的なストレスや要求行動に対応するための対策です。
- 無言で片付け、叱らない:愛犬が食糞した現場を見つけても、絶対に叱ったり、大きな声を出したりしないでください。
無言で、表情を変えずにすぐに片付けます。
わんちゃんは、「食べても何も起こらない」ことを学習し、関心を失います。 - 成功体験を与える:排泄を終えたら、すぐに片付ける前に「よし!」「えらい!」と大げさに褒め、おやつや遊びなどの最高の報酬を与えます。
「うんちをそのままにすると、良いことがある」と学習させます。 - 退屈対策:知育玩具やおやつボールなどを使用し、食べる以外の遊びで愛犬の好奇心を満たしてあげましょう。
十分な散歩や運動も欠かせません。
【栄養・消化器系】フードの見直しと補助食品の活用
排泄物のニオイや味を魅力的にしないための対策です。
- 消化の良いフードに変える:消化吸収率の高い良質な総合栄養食に見直します。
特に、消化器の負担になりやすい穀物(小麦など)が少ないフードを選ぶのが有効です。 - 消化酵素の活用:未消化のまま排泄される栄養素を減らすため、犬用の消化酵素やプロバイオティクス(整腸剤)をフードに混ぜて与えるのも有効です。
- 食糞防止サプリ:市販の食糞防止サプリメント(チリパウダー、納豆菌など)は、便のニオイをわんちゃんが嫌うように変える作用があります。
補助的に使用を検討しても良いでしょう。
【環境管理】排泄物をすぐに「除去」する
「食糞するチャンスを与えない」ことが、最も即効性のある対策です。
- 常時監視と即時撤去:トイレトレーニング中は、愛犬の排泄のタイミングを把握し、排泄が済んだら1秒以内に「よし!」と褒めてサークルから出し、すぐに便を撤去します。
- トイレの配置:クレート(寝床)とトイレを離すなど、わんちゃんがリラックスして排泄でき、かつ飼い主が監視しやすい配置に調整します。
食糞対策の「実践トレーニング」
食糞を根本的に解決するための、具体的なトレーニング手順です。
「トイレで待て」の練習
愛犬が排泄を終えたら、すぐに便に近づくのを防ぎます。
- 手順: 排泄後、「待て」のコマンドを出し、愛犬に便から離れてもらいます。
便から目を離すことができたらすぐに褒めてご褒美を与え、その間に飼い主が便を撤去します。
散歩中の対策
散歩中に拾い食い(食糞を含む)をさせないための練習です。
- 「放せ」の練習: 散歩中、愛犬が地面のニオイを嗅ぎ始めたら、すぐに「放せ」のコマンドを出し、聞けたらその場で最高の褒めと報酬を与えます。
- 常にリードを短く持つ: 排泄物のある場所(特に植え込みや草むら)に近づくときは、リードを短く持ち、愛犬が口をつけられないようにコントロールします。
まとめ:食糞対策は「叱らず、環境と栄養から」

| 項目 | 食糞の原因 | 飼い主ができる最善の対策 |
| 心理的 | 「叱られたくない」「構ってほしい」という不安や要求。 | 食糞しても絶対に叱らない。静かに無言で撤去し、愛犬が排泄直後に褒めることで成功体験を与える。 |
| 環境 | 便がある状況が食糞のチャンスとなる。 | 常時監視し、排泄物は1秒以内に除去する。退屈しないよう遊びの時間を増やす。 |
| 栄養 | 消化不良や栄養不足により、排泄物に興味を持つ。 | 消化吸収率の高い良質なフードに切り替え、必要に応じて消化酵素を補助的に取り入れる。 |
食糞は、飼い主さんの対応一つで改善のスピードが大きく変わります。
一貫して「叱らない」ルールを守り、根気強く対策を続けていけば、必ず愛犬の行動は改善されます。
焦らず、愛犬との信頼関係を築きながら取り組んでいきましょう。
健康と幸せのために、諦めずに向き合ってあげましょう。
これからも、このブログではわんちゃんを飼うための役立つ情報を発信していきますので、ぜひ参考にしてくださいね。


