【わんちゃんの体温】触ると「熱っぽい」は間違い？　体温調節の秘密と、散歩後の正しいクールダウン法！

飼い主さん

愛犬の体を撫でると、いつも温かいから、
もしかして微熱がある？

飼い主さん

夏場の散歩後、水を飲ませているけど、
正しいクールダウンが、できているか不安…

愛犬の健康を気遣う飼い主さんが、体を触って「熱い」と感じるのは、ごく自然なことです。

しかし、私たち人間との「平熱の違い」と、わんちゃん独自の「体温調節の仕組み」を理解していないと、「熱っぽい」という感覚は大きな誤解を生み、熱中症の初期サインを見逃してしまう原因にもなりかねません。

わんちゃんは、人間のように全身の皮膚から汗をかいて体温を下げる効率的なシステムを持っていません。

そのため、特に高温多湿な日本の夏において、散歩後や運動後の「正しいクールダウン」は、愛犬の命を守るための最も重要なケアとなります。

この記事では、まずわんちゃんの体温が人間より高い科学的な理由を解説します。

次に、わんちゃんが持つ「体温調節の２大秘密」を解き明かし、熱中症に陥る前の危険なサインを紹介します。

そして最後に、愛犬の血液を効率的に冷やし、安全に体温を下げるための「散歩後の正しいクールダウン法」を徹底解説します。

平熱が違う！「熱っぽい」の誤解を解く！

愛犬の体を触って温かく感じるのは、あなたの手が正しく感覚を伝えている証拠ですが、それは発熱を意味するわけではありません。

わんちゃんの、平熱は人間より１〜２℃高い

• 人間: 　　　　約36.0℃〜37.0℃
• わんちゃん: 　約38.0℃〜39.0℃（※個体差や犬種による差があります）

わんちゃんの平熱が高いのは、代謝率が高いためです。

人間が約36℃の体温に慣れているため、38℃台のわんちゃんの体に触れると、当然ながら「熱い」「温かい」と感じてしまうのです。
したがって、触った感覚だけで「熱がある」と判断するのは間違いです。

正確な体温測定は「直腸温」のみ

人間のように脇の下や口で測る方法は、わんちゃんには適用できません。
愛犬の正確な体温を知るためには、動物用の体温計で直腸温を測る必要があります。

• 平熱の上限（39.0℃）を超え、40℃近くになると、緊急事態を疑う必要があります。

わんちゃんの、体温調節の「２大秘密」

汗腺が少ないわんちゃんは、主に２つの方法でしか体温を下げることができません。

主役は「パンティング（開口呼吸）」

• メカニズム: 口を開けてハァハァと浅く速い呼吸（パンティング）をすることで、舌や口腔内の水分を蒸発させ、その気化熱を利用して体温を下げています。
  
• 限界: 外気温や湿度が高い状況では、水分がうまく蒸発しないため、パンティングの冷却効果は急激に低下します。

脇役は「肉球からの発汗」

• メカニズム: わんちゃんの汗腺は、肉球などのごく一部に集中しています。
  
• 限界: 肉球からの発汗は、体温を下げるのに役立つのはごくわずかで、全身の冷却にはほとんど貢献できません。

見逃すと命取り！熱中症の初期サイン！

効率的な体温調節が難しいわんちゃんは、熱中症になりやすく、進行が非常に速いのが特徴です。以下のサインを見つけたら、直ちにクールダウンを開始し、病院へ連絡してください。

• 激しいパンティング: 普段よりもゼーゼーと激しく、浅い呼吸を続けている。
  
• よだれ・粘膜の異常: 大量のよだれを垂らし、歯茎（歯肉）の色が真っ赤に充血している、または白っぽい。
  
• 行動の異常: ふらつきや、立っていられないほどの虚脱（ぐったりしている）が見られる。
  
• 嘔吐・下痢: 重度の場合は、嘔吐や下痢、けいれんを引き起こすことがあります。

血液を冷やせ！　正しいクールダウン法！

散歩後や、愛犬が熱中症の初期サインを見せ始めたとき、最も効果的なのは「血液を直接冷やす」ことです。

冷やすべき「４つの急所」

体温調節の効率を最大化するには、太い血管が体の表面近くを通っている場所を集中して冷やします。
これらの場所を冷やすことで、冷えた血液が全身を巡り、体の中心温度が下がります。

• ① 首筋（頚動脈）
• ② 脇の下（腋窩動脈）
• ③ 内股（大腿動脈）
• ④ 肉球（冷却と発汗を助ける）

最も効果的なクールダウン手順

• 手順１：水で濡らす: 飲める程度の常温か、やや冷たい水を、上記の４つの急所に直接かけたり、流水で濡らしたりします。
  
• 手順２：濡れタオルで圧迫: 水で濡らしたタオルや冷たい保冷剤（タオルで包む）を、首筋と内股に当て、軽く圧迫するようにして数分間冷やし続けます。
  
• 手順３：水を飲ませる: 飲みたいだけ、新鮮な水を自由に飲ませます。
  ただし、激しくパンティングしている場合は、一気に飲ませず、休憩を挟みながら少しずつ飲ませます。
  
• NG行動：氷水への全身浸漬
  • 愛犬の全身を急に氷水に浸けると、皮膚の血管が急激に収縮してしまい、体内の熱が放出されにくくなる可能性があります。
    あくまで血管が通る「急所」を狙って冷やすのが原則です。

まとめ：愛犬の体温管理「３つの鉄則」

愛犬の体が温かいのは愛情のサインですが、その背後にある体温調節の限界を知ることが、愛犬の命を守ることに直結します。

正しいクールダウン法をマスターし、愛犬が常に快適で安全に過ごせるようサポートしてあげましょうね。