愛犬との生活をより安全に、そして豊かにするために欠かせないのが「しつけ」です。
特に「おすわり」「伏せ」「待て」の3つは、わんちゃんの安全を守り、興奮を落ち着かせ、飼い主さんとの信頼関係を築くための基本中の基本です。

うちの子、なかなか覚えてくれない…

どうやって教え始めたらいいの?
大丈夫です。
わんちゃんは賢い生き物ですが、私たち人間のように言葉を理解することはできません。
彼らに教えるのは、「この行動をすると良いことがある!」という成功体験と報酬の組み合わせです。
この記事では、子犬や成犬を問わず、愛犬に基本コマンドを教えるための「3つの黄金ステップ」と、失敗しないための具体的なコツを、どこよりも分かりやすく徹底解説します!
しつけ成功のための「3つの黄金ステップ」
わんちゃんのしつけは、この3つのステップを順番に踏むことで、確実に定着します。
黄金ステップ①:誘導(ハンドシグナル)
最初に、愛犬に言葉ではなく、手や体を使った動き(ハンドシグナル)で、これから取ってほしい行動の形を教えます。
この段階では、言葉(コマンド)は使いません。
黄金ステップ②:言葉の追加(コマンド)
愛犬がハンドシグナルで行動を取れるようになったら、行動の直前に言葉(「おすわり」「伏せ」など)をセットで教え込みます。
黄金ステップ③:報酬(ご褒美)と解除
望ましい行動が取れたその瞬間(1秒以内)に、ご褒美を与え、言葉と行動を関連付けます。
そして、コマンドを終える合図(解除)を教えます。
基本コマンドの教え方とコツ!
いよいよ実践です。
最初は静かで集中できる場所から始めましょう。
コマンド1:「おすわり(SIT)」
最も教えやすく、応用範囲も広い基本のコマンドです。
| 手順 | アクション | 教える言葉 | 成功のコツ |
| 【誘導】 | 愛犬の鼻先にご褒美(おやつ)を持っていき、そのまま愛犬の頭上、背中側へゆっくりと動かします。 | なし | 鼻先から頭上へ動かすと、わんちゃんはご褒美を見上げるために自然にお尻を床につけます。 |
| 【報酬】 | お尻が床についた瞬間、「おすわり!」と声をかけ、すぐにおやつを与えます。 | 「おすわり!」 | お尻がつききらないうちに褒めないこと。一貫して行います。 |
| 【解除】 | 報酬を与えた後、「よし」「フリー」などの解除の言葉を言って、自由にしてあげます。 | 「よし」/「フリー」 | 毎回解除することで、「合図があるまで続ける」というルールを教えられます。 |
コマンド2:「伏せ(DOWN)」
興奮を鎮めるのに効果的で、長く待たせる時にも便利な体勢です。
| 手順 | アクション | 教える言葉 | 成功のコツ |
| 【誘導】 | 愛犬が「おすわり」の状態になったら、ご褒美を鼻先から床へ向かって、前足の間に誘導するように動かします。 | なし | 伏せない場合は、ご褒美を床に沿って少し遠くへ引き、「獲物を追う」動作で体を下げさせます。 |
| 【報酬】 | 前足だけでなく、肘と腹部が床についた瞬間、「伏せ!」と声をかけ、すぐにおやつを与えます。 | 「伏せ!」 | 伏せは「おすわり」より高度です。最初は一瞬伏せただけでも大げさに褒めましょう。 |
| 【解除】 | 報酬を与えた後、「よし」「フリー」などの解除の言葉を言って、自由にしてあげます。 | 「よし」/「フリー」 | 伏せの状態が長く続く必要はありません。成功体験を優先し、すぐに解除してもOKです。 |
コマンド3:「待て(STAY)」
安全に直結する最も重要なコマンドです。短時間から練習しましょう。
| 手順 | アクション | 教える言葉 | 成功のコツ |
| 【誘導】 | 愛犬が「おすわり」または「伏せ」をしたら、手のひらを愛犬の顔の前にかざします(ストップのハンドシグナル)。 | 「待て!」 | 「待て!」と言葉をかけ、そのまま静止します。 |
| 【報酬】 | 1秒待てたらすぐに愛犬のいる場所に戻り、「よし」で解除してからご褒美を与えます。 | 「よし」/「フリー」 | 待っている最中には絶対に褒めないこと!犬は「褒められたから動いていい」と勘違いします。 |
| 【発展】 | 成功したら、待たせる時間を徐々に長くし、飼い主が離れる距離を徐々に長くしていきます。 | 「待て!」 | 失敗しそうになったら、失敗する前に飼い主が戻り、成功させてあげましょう。 |
しつけを成功させるための「5つの秘訣」
しつけの効率を最大化し、愛犬との関係をより良くするための秘訣です。
集中できる時間を見極める
しつけは、愛犬が空腹時で、興奮していない時に行うのがベストです。
食事やおやつの前など、ご褒美への意欲が高い時間帯を選びましょう。
セッションは短く、回数を多く
わんちゃんの集中力は長く続きません。
1回の練習を3〜5分程度で終わらせ、1日の中で数回(3〜5回)行うようにしましょう。
成功体験が積み重なりやすくなります。
家族全員でルールを統一する
コマンドの言葉、ご褒美のあげ方、解除の合図は、家族全員で統一してください。
人によって教え方が違うと、わんちゃんは混乱してしまい、しつけが遅れる原因になります。
褒め言葉を出し惜しみしない
ご褒美のおやつだけでなく、「いい子!」「ワンダフル!」などの明るい褒め言葉や、優しいスキンシップも最高の報酬です。
成功したら大げさに褒めて、喜びを伝えてあげてください。
失敗しても叱らない(無視する)
わんちゃんが指示を聞かなかったり、間違ったりしても、絶対に叱ってはいけません。
失敗したら、もう一度最初から静かにやり直すか、成功しやすい簡単なレベルに戻してあげましょう。
まとめ:基本コマンドは安全と信頼の土台!

| コマンド | 目的と効果 | 成功させるための最重要 ポイント |
| おすわり | 興奮を鎮める、挨拶、アイコンタクトを促す。 | お尻が床についた「その瞬間」に褒めてご褒美を与える。 |
| 伏せ | 長時間落ち着かせる、リラックスを促す。 | おすわりから床へ鼻先を誘導し、身体がすべてついたら褒める。 |
| 待て | 危険を回避、衝動制御、安全を確保。 | 待っている間は絶対に報酬を与えず、解除の合図(よし)の後におやつを与える。 |
この3つの基本コマンドを習得することは、愛犬が「飼い主さんの指示に従うと安心で良いことがある」と学ぶ第一歩です。
焦らず、楽しく、愛犬の才能を伸ばしてあげてくださいね!
我が家では、人差し指を立てるとおすわりなど、指だけの指示も出来るようになりました。
飼い主さんも愛犬も焦らず楽しみながら、一つでも何か出来るようになったら喜びを分かち合いましょう。


