
飼い主さん
最近、乾いた咳をすることが増えたけど、
風邪なのかな?

飼い主さん
散歩の途中で座り込んで、息が荒くなることが多くなったのは、
歳のせい?
愛犬の「咳」や「息切れ(呼吸の異常)」は、多くの飼い主さんが単なる風邪や老化のサインと見過ごしがちです。
しかし、これらの症状は、特に小型犬や高齢犬において、「心臓病」の初期〜中期サインである可能性が極めて高く、命に関わる緊急事態につながる危険性を秘めています。
心臓病は、発症初期の段階では症状がほとんど現れないため、「サイレントキラー(静かなる殺し屋)」とも呼ばれます。
症状が出始めた時には、病状がかなり進行していることが多く、早期の投薬と生活管理が、愛犬の寿命とQOL(生活の質)を大きく左右します。
この記事では、まず心臓病が引き起こす具体的な咳の種類とメカニズムを解説します。
次に、自宅でできる「心臓病の危険度チェック」と、病院へ行くべき緊急サインを提示します。
そして最後に、心臓病と診断された愛犬のために、飼い主ができるQOLを保つための生活管理の
秘訣を徹底解説します。
心臓病による「咳・呼吸の異常」のメカニズム!
わんちゃんの心臓病で最も多いのは、「僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)」
です。この病気が、なぜ「咳」を引き起こすのでしょうか。
咳の原因:心臓の拡大と、気管の圧迫
- メカニズム: 僧帽弁がうまく閉じなくなり、血液が逆流することで、心臓(特に左心房)が
拡大します。 - 症状: 拡大した心臓が、すぐ上に位置する「気管」や「気管支」を物理的に圧迫することで、「乾いた咳」や「ガチョウの鳴き声のような咳」を引き起こします。
- 悪化: 運動後や興奮時、朝方や夜間に咳が出やすい傾向があります。
息切れの原因:肺水腫の危険
- メカニズム: 心臓の機能がさらに低下すると、血液中の水分が肺に滲み出て、「肺水腫(はいすいしゅ)」と呼ばれる状態になります。
- 症状: 肺水腫が起こると、溺れているような状態になり、激しい呼吸困難、チアノーゼ(舌や歯茎が紫色になる)、口から泡を吹くなど、命に関わる緊急事態に陥ります。
自宅でできる心臓病「危険度チェック」
愛犬の呼吸や脈拍をチェックすることで、心臓病の危険度を把握できます。
呼吸数のチェック(安静時)
- 方法: 愛犬が完全に寝ている状態(眠っているか、うたた寝状態)で、胸の動き(吸って吐く)を数えます。1分間の呼吸回数を測定してください。
- 危険度の目安: 獣医師によって基準は異なりますが、1分間に30回以上の呼吸が続く場合は、心臓に負担がかかっている可能性があり、継続的な観察が必要です。
40回を超えたら、病院に相談しましょう。
舌・歯茎の色の確認
- 危険サイン: 興奮していないのに、舌や歯茎(粘膜)の色が青紫色になっている(チアノーゼ)。
- 意味: 血液中の酸素濃度が低下していることを示し、肺水腫などによる緊急性の高い呼吸困難のサインです。
「失神」や「ふらつき」の有無
- 危険サイン: 運動中や興奮後に、急にバタンと倒れたり(失神/気絶)、立ち上がるときにふらつきが見られたりする。
- 意味: 心臓からの血流が一時的に低下し、脳に十分な酸素が供給されていない状態です。
病院へ行くべき「緊急タイミング」
心臓病は、早期治療が愛犬の寿命を延ばします。
以下のサインが見られたら、すぐに病院を受診してください。
- 咳が連続する: 咳が一日に何度も、または連続して止まらない。
- 安静時の呼吸困難: 運動後ではなく、寝ているときや安静にしているときでも呼吸が速い、または苦しそうにしている。
- 急な体重減少: 食欲は変わらないのに、急激に体重が減った(心臓病による代謝の変化の可能性)。
診断と治療の進め方
- 診断: 胸部のレントゲン検査(心臓の大きさの確認)、心臓のエコー検査(弁の逆流や心臓の動きの確認)を行います。
- 治療: 進行度に応じて、投薬治療(強心剤、利尿薬など)が中心となります。
早期に投薬を開始することで、心臓の負荷を減らし、心不全への進行を遅らせることができます。
QOLを保つための、生活管理!
心臓病と診断されたら、投薬と並行して生活習慣の徹底的な見直しが必要です。
- 塩分制限: 獣医師の指示に従い、塩分を控えめにした療法食に切り替える(体内に水分が溜まり、肺水腫が悪化するのを防ぐ)。
- 運動制限: 激しい運動や興奮は厳禁です。散歩は短い時間で、愛犬が疲れないペースを保ちます。
- 体温・湿度管理: 暑さや湿度は心臓に大きな負担をかけます。特に夏場は、涼しい室内で過ごさせます。
まとめ:心臓病のサイン「3つの見逃し厳禁」

| 症状 | 危険度の目安 | 飼い主がすべき 具体的な行動 |
| 乾いた咳 | 初期〜中期の心臓拡大による気管圧迫のサイン。 | 咳が続く場合は、速やかに病院でレントゲン検査を受ける。 |
| 安静時の呼吸数 | 心臓への負荷が継続しているサイン。 | 1分間に30回以上の場合は、獣医師に相談する。 |
| 失神・チアノーゼ | 肺水腫や酸欠など、命に関わる緊急事態。 | 直ちに緊急病院へ搬送する。 |
愛犬の咳や息切れは、「風邪」と自己判断せず、「心臓病」の可能性を疑うことが、早期発見と長寿への鍵となります。
日々の観察を怠らず、愛犬のサインを見逃さないようにしましょうね。


