
お留守番させると、ずっと鳴き続けているみたい…

帰宅したら、家具がボロボロに…
愛犬が一人でいることに強い不安を感じて、吠え続けたり、破壊行動をしたり、自傷行為(自分の体を舐め続けるなど)に及ぶのは、「分離不安」や「一人でいることへの慣れ不足」が原因かもしれません。
留守番は、わんちゃんにとって「飼い主がいない=危険で不安な時間」ではありません。
「飼い主がいなくても安全で、楽しいことが待っている時間」だと教えることが、留守番成功の鍵です。
この記事では、愛犬が安心して留守番ができるようになるための「4つのステップ」と、事前に用意すべき「安心アイテム」を詳しく解説します。
焦らず、愛犬のペースに合わせて、一歩ずつ進んでいきましょう。
愛犬が留守番を苦手とする「本当の原因」
お留守番が苦手なわんちゃんの多くは、「一人でいること」自体が苦手なのではなく、「飼い主と離れること」に対して強いストレスを感じています。
過度な「依存心」と「愛着」
飼い主さんが愛犬に過度に愛情を注ぎ、常に一緒にいる生活を送っている場合、わんちゃんは飼い主を「自分の安全を守ってくれる存在」として強く依存しすぎます。
そのため、飼い主が視界から消えると「安全基地がなくなった!」とパニックに陥りやすくなります。
出かける「サイン」による不安の増幅
わんちゃんは非常に賢く、飼い主の行動をよく観察しています。
鍵を持つ、コートを着る、バッグを持つといった「出かける前のルーティン」を察知すると、「もうすぐ一人になる!」と不安がピークに達します。
留守番場所が「安心できる場所」ではない
クレートやサークルが、単に「閉じ込めるための場所」として使われている場合、わんちゃんはそこに入れられることをネガティブに捉えます。
この状態では、留守番中に心を休めることができません。
安心して待てるための「事前準備と環境づくり」
留守番練習に入る前に、愛犬が「ここは安全だ」と感じられる環境を整えることが最重要です。
安全基地(クレート・サークル)を確立する
- 練習: クレートやサークルの中に、お気に入りの寝具や大好きなおやつを入れて与えます。
普段から食事は必ずこの場所で与え、「クレート=一番安心できる最高の場所」だと認識させます。 - 注意: 留守番の時だけクレートに入れるのはNGです。
日中もクレートのドアを開けて自由に出入りできるようにし、自発的に中で休む習慣をつけさせましょう。
集中力が持続する「留守番アイテム」を用意する
留守番の直前に与えることで、飼い主の外出への意識をそらすことができます。
- 知育玩具(コングなど): わんちゃんが夢中になれるペースト状のフードや、おやつを詰めて冷凍しておくと、長時間かけて楽しむことができます。
- 長時間噛めるおやつ: 歯磨き効果のある硬いガムや、骨型のおやつなど、体力を消耗しつつ気分を落ち着かせられるものを用意します。
- 給水器: 留守番中に水が飲めるよう、倒れにくい給水器を設置します。
排泄と運動で体力を消耗させる
出かける30分前には、たっぷり散歩をして排泄を済ませ、体力を消耗させておくのが理想です。
体が疲れていると、留守番中に寝て過ごしやすくなります。
ただし、興奮状態で出かけるのは避けてください。
段階的に慣らす「練習の4ステップ」
留守番を克服するための練習は、「短い時間」と「静かな帰宅」が鉄則です。
練習①:出がけのサインの「無意味化」
わんちゃんが出かけるサインに反応しないように、不安のトリガーを崩します。
- アクション: 鍵を持つ、コートを着る、靴を履く、ドアノブを触るなどの行動を、外出の目的を持たずにランダムに行います。
- コツ: これらの行動をしても出かけない、またはすぐ戻るを繰り返すことで、わんちゃんは「鍵を持っても必ず一人になるとは限らない」と学習し、過度な緊張をしなくなります。
練習②:短時間分離(視界から消える練習)
- アクション: わんちゃんが安全基地(クレートなど)で落ち着いているときに、飼い主が一瞬だけわんちゃんの視界から消えます(例:別の部屋のドアを閉める)。
- コツ: 1秒、3秒、5秒と、徐々に時間を延ばします。
わんちゃんが不安になる直前に必ず戻り、成功体験を積み重ねます。
不安を感じさせたら、成功する短い時間に戻ってやり直しましょう。
練習③:留守番=「楽しい時間」の上書き
いよいよ家を出る練習です。
- アクション: 留守番アイテム(コングなど)を渡し、愛犬が夢中になったのを確認してから、静かに無言で家を出ます。
- コツ: 最初の外出は3〜5分など、短時間で必ず戻ります。
わんちゃんにとって「飼い主の外出サイン=最高のおやつタイムの始まり」という認識に上書きされるまで繰り返します。
練習④:帰宅時の「静かな対応」
犬の依存心を強めないために、帰宅時の対応が非常に重要です。
- アクション: 帰宅してドアを開けたら、わんちゃんが興奮していても無視し、声をかけず、アイコンタクトも取りません。
- コツ: わんちゃんが5分ほど落ち着いて座ったり横になったりするまで待ちます。
落ち着いたのを確認してから、静かに「ただいま」と声をかけ、穏やかに撫でてあげましょう。
興奮を助長する対応は厳禁です。
留守番中の環境管理と、NG行動!
留守番中の安全確保と、練習を無駄にしないための注意点です。
NG行動:大げさな挨拶はしない
出かける前の「置いていってごめんね」という態度や、帰宅後の「会いたかったよ!」という過度な歓迎は、わんちゃんの不安を増幅させます。
留守番の前後は常にクールに接しましょう。
留守番場所の工夫(目隠し)
外の景色が見えると、通行人や車に反応して吠えてしまうことがあります。
窓の近くにクレートを置いている場合は、布などで目隠しをして、余計な刺激を遮断してあげましょう。
事故防止と安全確保
- かじって危険なものは撤去: コード類、リモコン、観葉植物、小さなカーペットなどは、破壊行動による誤飲や感電のリスクがあるため、必ずわんちゃんの届かない場所に片付けます。
- ペットカメラの利用: ペットカメラで留守番中の様子を確認できると、わんちゃんの不安が始まる正確な時間が把握でき、練習時間を調整するのに役立ちます。
まとめ:留守番克服のための「3つの鉄則」

| 項目 | 留守番克服のポイント | 飼い主ができる最善の管理 |
| 場所 | クレート・サークルを「安全基地」だと認識させる。 | 普段から食事や遊びをクレート内で行い、自ら入る習慣をつける。 |
| 練習 | 不安の予兆を感じさせずに、外出の時間を延ばす。 | 鍵を持つなどの出がけサインを無意味化し、外出直前に長時間夢中になれるおやつを与える。 |
| 対応 | 帰宅時も興奮を煽らず、落ち着きを褒める。 | 「行ってきます/ただいま」をクールに行い、わんちゃんが落ち着いてから静かに褒めて触れ合う。 |
留守番の練習は、愛犬の性格や抱えている不安の度合いによって、数ヶ月かかる場合もあります。
焦りは禁物です。
「今日は5分静かに待てた!」と小さな成功を喜び、根気強くポジティブな経験を積み重ねていきましょう。


