【肝臓を破壊】レプトスピラ症って何?感染経路とワクチンによる予防!

病気・けが
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飼い主さん

散歩中に水たまりの水を飲んだだけなのに、
急に愛犬の目が黄色くなった…

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飼い主さん

レプトスピラ症って、キャンプや山で遊ぶ犬だけの
病気じゃないの?

わんちゃんの感染症の中で、レプトスピラ症は「人獣共通感染症(ズーノーシス)」であり、
愛犬から飼い主さんやご家族に感染するリスクがある、非常に警戒すべき病気です。

この病気の原因となるレプトスピラ菌は、愛犬の体内で肝臓と腎臓という重要な臓器をターゲットに破壊し、重症化すると命に関わります。

日本国内でも毎年発生が確認されており、特にネズミや野生動物が媒介するため、都会や郊外に関わらず、すべてのわんちゃんに感染のリスクがあります。

この記事では、レプトスピラ症の恐ろしい特性、どこに潜んでいるかを知るための驚異の感染経路そして愛犬とご家族の健康を守るための最重要予防法を徹底解説します。

レプトスピラ症の恐ろしい特性と人へのリスク!

レプトスピラ症は、スピロヘータという細菌の一種であるレプトスピラ菌によって引き起こされます。

肝臓と腎臓をターゲットに破壊

レプトスピラ菌は、体内に侵入すると血流に乗って全身に広がり、特に肝臓と腎臓の細胞を破壊します。

  • 肝臓への影響: 肝炎や肝不全を引き起こし、目や歯茎が黄色くなる「黄疸(おうだん)」という特徴的な症状が現れます。
  • 腎臓への影響: 腎炎や急性腎不全を引き起こし、尿の量が極端に減ったり(乏尿)、逆に増えたりする(多飲多尿)などの症状が出ます。

高い致死率と重篤な後遺症

治療が遅れたり、愛犬の体力や免疫力が低い場合、重篤な臓器不全により命を落とす危険性が非常に高いです。
また、一命を取り留めても、慢性的な腎臓病などの後遺症が残る場合があります。

人獣共通感染症の脅威

最も重要なのが、レプトスピラ菌が人にも感染するという点です。

  • 人への感染: 感染犬の尿に触れたり、尿で汚染された水や土に触れたりすることで、飼い主さんの皮膚の傷や粘膜から感染します。
  • 人の症状: 人が感染すると、インフルエンザのような症状のほか、重症化するとワイル病となり、髄膜炎や腎不全、重度の黄疸を起こし、命に関わることがあります。

どこに潜む?驚異の感染経路とリスクの高い場所!

レプトスピラ菌は、感染した野生動物の尿によって、環境中に広範囲に存在します。

主な感染源は「尿」と「水」

  • 媒介動物: 主な保菌動物は、ネズミ(ドブネズミなど)や野生動物(アライグマ、イタチ、キツネ、イノシシなど)です。
    これらの動物が尿をすることで、菌が排出されます。
  • 感染しやすい環境: 菌は乾燥に弱いですが、湿った環境や水中で長く生存できます。
    特に、水たまり、ぬかるみ、河川、用水路、田んぼ、側溝などは感染リスクの高い場所です。

わんちゃんの感染経路

わんちゃんが、レプトスピラ菌に感染する主な経路は以下の通りです。

  • 飲水: 汚染された水たまりや川の水を飲むこと。
    これが最も一般的な感染経路です。
  • 接触: 汚染された土や水たまりに皮膚の傷や粘膜(口、鼻、目)が触れること。
    散歩中に水たまりで遊んだり、ネズミを捕まえようとしたりする行動もリスクを高めます。

季節とリスク

菌は温暖で湿潤な環境を好むため、特に雨が多くなる夏から秋にかけて感染例が増加する傾向があります。
しかし、冬でもネズミが生息する場所ではリスクは消えません。

症状の進行と種類「黄疸・乏尿に注意」

レプトスピラ症は、感染した菌の型やわんちゃんの免疫力によって、症状が大きく異なります。

初期症状(軽症〜中等症)

潜伏期間は通常4〜12日ほどで、最初は他の感染症や風邪と区別がつきにくい症状が現れます。

  • 発熱: 高熱(39.5℃以上)が出ることがあります。
  • 元気消失: ぐったりして、散歩や遊びに興味を示さなくなります。
  • 消化器症状: 嘔吐や食欲不振が見られます。

重症化サイン(緊急性の高い症状)

病態が進行し、臓器がダメージを受け始めると、レプトスピラ症特有のサインが現れます。

  • 黄疸(肝臓型): 白目や歯茎、皮膚がレモン色〜オレンジ色に変化します。
    これは肝機能が低下している明確なサインです。
  • 腎臓の異常(腎臓型):
    • 乏尿・無尿: 尿の量が極端に減る、または全く出なくなる(急性腎不全のサイン)。
    • 多飲多尿: 逆に水を大量に飲み、尿を大量に出すようになる(慢性腎臓病へ移行する前兆)。
  • 出血傾向: 歯茎や皮膚から出血したり、血便が見られたりすることがあります。

愛犬と家族を守る「ワクチン接種と環境対策」

レプトスピラ症の治療は、抗生物質の投与と対症療法(点滴、人工透析など)が中心となりますが、治療が非常に困難なため、予防が何よりも重要です。

レプトスピラ対応の混合ワクチン接種(必須)

レプトスピラワクチンは、単独ではなく、混合ワクチン(5種、8種など)に含まれているのが一般的です。

  • 種類と選択: レプトスピラ菌には多くの型(血清型)があり、ワクチンはそれらの中でも特に感染例が多い数種類の型(例:4価ワクチン)に対応しています。
  • 地域のリスク判断: 獣医師と相談し、愛犬が住む地域や、散歩・キャンプなどでの行動範囲のリスクを考慮して、レプトスピラ対応の混合ワクチンを選択してください。
  • 毎年接種: 多くの混合ワクチンの項目の中でも、レプトスピラワクチンの効果は比較的持続期間が短いため、毎年1回の追加接種が必須です。

感染経路の遮断と衛生管理

ワクチン接種に加え、飼い主さんの日々の行動が感染を防ぎます。

  • 水の飲用制限: 散歩中や屋外で、水たまりや河川、側溝の水を愛犬に絶対に飲ませないでください。
  • ネズミ対策: 飼育環境周辺のネズミ対策(餌となるものを放置しない、駆除)を徹底します。
  • 散歩後の洗浄: 散歩から帰宅後、愛犬の手足や体を丁寧に洗い、汚染された水や泥を落とします。
  • 人への感染予防: 感染が疑われる犬の尿や嘔吐物を処理する際は、必ず使い捨ての手袋を着用し、塩素系消毒剤で処理・消毒を行ってください。

まとめ:レプトスピラ症の「3つの予防策」

項目感染症の特性飼い主が守るべき行動
病気の脅威肝臓・腎臓を破壊し、
人にも感染する
人獣共通感染症
愛犬の黄疸
(目や歯茎が黄色い)や
尿量の異常が見られたら
即座に病院へ。
ワクチン治療が困難なため、
予防が最重要
毎年1回レプトスピラに
対応した混合ワクチン
必ず接種する。
環境対策ネズミの尿水たまり
主な感染源。
散歩中は水たまりの水を
飲ませず、帰宅後は
手足の洗浄を徹底する
(人への感染予防も兼ねる)。

レプトスピラ症は、あなたの愛犬がいつ、どこで遭遇してもおかしくない身近な脅威です。

ワクチン接種という最強の防御策を欠かさず、日々の衛生管理を行うことが、愛犬の命と、
大切なご家族の健康を守ることに繋がります。