
散歩中に急に足を地面に着けなくなった。ただの捻挫か、
それとももっと深刻な怪我?

家で安静にさせたいけれど、暴れてしまう。
どうすればいい?
愛犬が足をひきずる(跛行/はこう)行動を見せると、飼い主としては大きな不安に襲われます。
わんちゃんの足の怪我は、単なる捻挫で済むこともありますが、骨折、脱臼、あるいは靭帯の断裂といった、手術が必要となる重篤な損傷である可能性も潜んでいます。
特に、小型犬の膝蓋骨脱臼(パテラ)や、大型犬の股関節疾患は、初期症状として足をひきずる様子が見られることがあります。
不適切な自己判断や、怪我を無視して運動を続けさせてしまうと、慢性的な関節炎や永久的な機能障害につながる危険性があります。
愛犬の足をひきずる姿を見たら、まずは「何が起こっているのか」を冷静に見極め、「いかに安全に患部を固定し、安静を保つか」が重要になります。
この記事では、まず愛犬の跛行が示す「緊急度のサイン」を解説します。
次に、家でできる「捻挫・骨折の簡易的な見分け方」と、人間に適用されるRICE処置をわんちゃんに応用する方法を徹底解説します。
そして最後に、愛犬の「絶対安静」を保ち、二次的な怪我を防ぐための具体的な方法を解説します。
緊急度の判定!「足を着けない」が示す危険度!
愛犬が足をひきずる度合いは、怪我の重症度を測る重要な目安になります。
重症度の分類(跛行のレベル)
| レベル | 症状 | 疑われる怪我 | 緊急度 |
| レベル1 | 時々、軽くひきずる程度。 | 軽度の捻挫、筋肉痛、関節炎の初期。 | 要観察。 安静にすれば回復の 可能性大。 |
| レベル2 | 地面に着けるが、すぐに持ち上げる。 | 中程度の捻挫、 軽度の靭帯損傷、 打撲。 | 早めの受診を推奨。 |
| レベル3 | 完全に地面に着けない(浮かせている)。 | 骨折、脱臼、 重度の靭帯断裂、 神経損傷。 | 【超緊急事態】。 直ちに動物病院へ。 |
愛犬の「痛み」を見極めるサイン
愛犬は痛みを隠す傾向がありますが、以下のサインに注意してください。
- 触診を嫌がる: 患部に触ろうとすると、唸る、噛みつく、体を引くといった激しい拒否反応を示す。
- 姿勢の変化: 痛む足をかばうように、座り方や立ち方が不自然になる。
- 全身症状: 食欲不振、元気がない、震えているなど、全身の不調が見られる。
捻挫?骨折?簡易的な見分け方と、RICE処置!
捻挫(関節の靭帯や腱の損傷)と、骨折・脱臼(骨の異常)は、専門的な検査がなければ確定できませんが、家庭でできる簡易的なチェックポイントがあります。
骨折・脱臼を強く疑うサイン
以下の症状がある場合、自己判断せずすぐに病院へ連絡してください。
- 異常な変形: 足の関節や骨のラインが不自然に曲がっている、あるいは腫れが極端にひどい。
- 不安定性: 関節がグラグラして異常な可動域がある(脱臼や靭帯断裂の可能性)。
- 激しい痛み: わずかに触れただけでも、愛犬が絶叫するような激しい痛みを示す。
わんちゃんの怪我への「RICE処置」の適用
人間の応急処置として知られるRICE処置は、わんちゃんの捻挫や打撲が疑われる際にも、病院へ行くまでの間に症状の悪化を防ぐために応用されます。
| 処置 | 英語 | 目的 | 具体的な方法 (わんちゃんへの適用) |
| 安静 | Rest | さらなる損傷の防止。 | クレートやケージに入れ、絶対安静を徹底する。 |
| 冷却 | Ice | 炎症や腫れの抑制。 | 患部をタオルで包んだ保冷剤で10〜15分程度冷やす。冷やしすぎない。 |
| 圧迫 | Compression | 内出血や腫れの抑制。 | 患部を優しく包帯で巻き、軽く圧迫する(強く締め付けすぎない)。 |
| 挙上 | Elevation | 腫れの軽減。 | 可能な範囲で、患部を心臓より高い位置に保つよう姿勢を調整する。 |
- 注意: 骨折が疑われる場合は、無理に動かしたり、圧迫したりすると骨がずれる危険があるため、患部を動かさないことが最優先です。
愛犬の「絶対安静」を保つ具体的な方法!
怪我の治療において最も重要なのは「安静」です。
愛犬が興奮して動き回るのを防ぎ、治癒を促進させます。
「安全地帯」としての環境限定
- クレートレスト(ケージレスト): 病院で指示があった場合は、クレートやケージの中での
生活を徹底します。
愛犬が安心して過ごせるように、ベッドや水飲み場を設置し、クレート内を快適に保ちます。 - 行動範囲の限定: 部屋の一部にベビーゲートなどを設置し、愛犬の移動範囲を必要最小限に
限定します。
階段・ジャンプの禁止
- 最大の敵: 階段の上り下りやソファ・ベッドへの飛び降り・飛び乗りは、関節や靭帯に極度の負担をかけるため、厳禁です。
- 補助: 必要に応じてスロープを使用するか、抱き上げて移動させます。
興奮を鎮める工夫(メンタルケア)
- 遊びの変更: 体を使う激しい遊び(ボール遊び、引っ張りっこ)は止め、頭を使う遊び(知育玩具、ノーズワークなど)に切り替えることで、愛犬のエネルギーと欲求を健全に発散させ、安静を保ちやすくします。
- 落ち着いた接し方: 飼い主も落ち着いたトーンで接し、愛犬の興奮を誘発するような行動
(甲高い声、激しいスキンシップ)は避けます。
診察後の治療とリハビリテーション!
捻挫や骨折の治療後、再発防止のためにリハビリテーションは非常に重要です。
- 治療: 捻挫であれば内服薬や外固定、骨折や重度の靭帯損傷(前十字靭帯断裂など)であれば外科手術が行われます。
- リハビリ: 治癒後も、獣医師の指導のもと、水中トレッドミルや筋力トレーニングといった
リハビリテーションを計画的に行い、患部周辺の筋肉を強化し、再発を防ぎます。
まとめ:足の怪我への「緊急対応3原則」

| 原則 | 目的と確認事項 | 緊急時の具体的な行動 |
| 1. 重症度の判定 | 骨折・脱臼の可能性を チェックする。 | 完全に足を地面に着けない、異常な腫れや変形があれば 直ちに病院へ。 |
| 2. 応急処置(RICE) | 炎症と腫れの悪化を防ぐ。 | クレートで絶対安静。 タオルで包んだ保冷剤で 10〜15分冷却する。 |
| 3. 安静の徹底 | 患部の早期治癒を促進し、 再発を防ぐ。 | クレートレストを徹底し、 ジャンプや階段の上り下りを厳禁にする。 |
愛犬の足をひきずる行動を見たら、パニックにならず、まずは「安静と冷却」の応急処置を施し、すぐに動物病院を受診することが、愛犬の完全な回復への最短ルートです。
動物病院で正確な診断を受けることが大切ですね。


