【意外な感染源】ケンネルコフってどんな病気?咳が止まらない時の対処法!

病気・けが

「ドッグランやホテルから帰ってきたら、急に『カーッ、ゲホゲホ』という、まるで何かを吐き出すような咳をし始めた…」

わんちゃんの咳で最も一般的な病気の一つが、ケンネルコフ(犬伝染性気管気管支炎)です。

名前の通り、感染力が非常に強く、特に多くのわんちゃんが集まる場所(ケンネル=犬舎)で発生しやすいことから、この名前がつけられました。

ケンネルコフは、人間でいう「百日咳」や「強い風邪」に似ており、重症化しなければ数日で治ることもありますが、その特徴的な咳のせいで、愛犬が苦しそうに見えるため、飼い主さんにとっては不安な病気です。

また、子犬やシニア犬、基礎疾患を持つわんちゃんが感染すると、肺炎を併発するリスクもあるため、軽視はできません。

この記事では、ケンネルコフの具体的な感染源と経路、愛犬の特徴的な咳への対処法、そして
ワクチンによる予防法を徹底解説します。

ケンネルコフの原因と「意外な感染源」

ケンネルコフは、単一の病原体ではなく、複数のウイルスや細菌が複合的に関与して発症することが特徴です。

主な原因となる病原体

  • パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス: ウイルス性の原因として最も一般的です。
  • ボルデテラ・ブロンキセプティカ菌: 細菌性の原因として最も重要で、しつこい咳を引き起こします。
    これらは、混合ワクチンや単独ワクチンで予防可能です。

感染力が極めて強い「集団感染」

ケンネルコフの最も大きな特徴は、その高い感染力です。

  • 空気感染(飛沫感染): 感染犬が咳やくしゃみをすることで、ウイルスや細菌が空気中に飛び散り、それを他のわんちゃんが吸い込むことで簡単に感染します。
  • 間接的な接触: 感染犬が舐めたおもちゃ、食器、リード、人の手などを介しても感染します。
  • 意外な感染源:集団施設: ケンネルコフが流行しやすい場所は以下の通りです。
    • ペットホテル、ドッグラン、ドッグカフェ
    • トリミングサロン、ブリーダーの施設
    • 動物病院の待合室

潜伏期間と発症

感染してから症状が出るまでの潜伏期間は、通常3日〜10日程度です。
そのため、「数日前にドッグランに行ったけど、まさかそれが原因とは…」と、感染源を特定するのが難しい場合があります。

ケンネルコフの「特徴的な咳」と症状!

ケンネルコフの症状は、その咳の仕方に大きな特徴があります。

典型的な咳の症状

  • 乾燥した、激しい咳: 「カーッ」「ゲホゲホ」という、喉の奥に何かが引っかかったような、乾いた激しい咳が突然出ます。
  • 嘔吐のような仕草: 咳があまりにも激しいため、飼い主さんは「愛犬が何かを喉に詰まらせたのでは?」「吐こうとしているのでは?」と勘違いしやすいです。
  • 刺激で誘発される: 散歩でリードを引っ張られたとき、興奮したとき、水を飲んだとき、急な温度変化があったときなど、外部からの刺激や気道の圧迫で咳が出やすくなります。

その他の症状

多くの場合、元気や食欲は比較的保たれますが、病原体によっては以下の症状を伴うことがあります。

  • 軽い発熱
  • 鼻水、くしゃみ
  • 軽度の元気消失

重症化のリスク

  • 子犬・シニア犬: 免疫力が低い子犬や体力が落ちているシニア犬、あるいは心臓や呼吸器に持病がある犬は、二次的な細菌感染によって重度の肺炎を併発し、命に関わる状態になることがあります。

咳が止まらない時の「家庭での対処法」

愛犬が激しい咳をして苦しそうにしているとき、飼い主さんができる対処法と、絶対にしてはいけない行動があります。

気道を刺激しないための工夫

咳は喉への刺激で誘発されることが多いため、刺激を最小限に抑えます。

  • 首輪からハーネスへ: 咳が出ている間は、首輪の代わりに胴体に負担がかからないハーネスを使用し、散歩中に喉を圧迫しないようにしましょう。
  • 安静にさせる: 興奮すると咳が出やすくなるため、遊びや運動は控え、安静にリラックスできる環境を整えます。

湿度管理と空気の調整

  • 加湿: 部屋の湿度をやや高め(50〜60%程度)に保ち、喉の乾燥を防ぎます。
    加湿器の活用や、お風呂場に数分いるだけでも効果があります。
  • 刺激の排除: タバコの煙、強い芳香剤、ホコリなど、咳を誘発する可能性のある刺激物を室内から排除しましょう。

飲み水を工夫する

  • 喉を潤す: 咳が出た後や、咳が続くときは、水を少量ずつ与えて喉を潤してあげましょう。

絶対にやってはいけないこと

  • 自己判断で市販薬を与える: 人間用の咳止め薬や風邪薬は、わんちゃんに中毒症状を引き起こす危険性があるため、絶対に与えてはいけません。
  • 激しく叱る: 咳をしても叱ってはいけません。
    ストレスや興奮でさらに咳を誘発し、病気を悪化させる可能性があります。

治療と予防の「ワクチン」

治療の基本

  • 薬物療法: ケンネルコフはウイルス性と細菌性の両方があるため、原因に応じて咳止め(鎮咳薬)気管支拡張薬、細菌が関与している場合は抗生物質などが使用されます。
  • 対症療法: 体力を落とさないように、栄養と水分をしっかりと摂らせるケアが中心となります。

予防の要!ワクチン接種

ケンネルコフは混合ワクチンで予防可能です。

  • 混合ワクチン: ジステンパーやパルボウイルスなどと共に、パラインフルエンザウイルスやアデノウイルスに対応する成分が含まれています。
  • ボルデテラワクチン: 特に感染リスクの高いわんちゃん(ホテルやドッグランを頻繁に利用する犬)に対しては、ボルデテラ・ブロンキセプティカ菌に対応した単独の経鼻ワクチン(鼻にスプレーするタイプ)の接種が推奨される場合があります。
    これは、通常の注射よりも早く免疫がつくのが特徴です。

獣医師と相談し、愛犬のライフスタイルに合わせた適切なワクチンを選びましょう。

まとめ:ケンネルコフの「3つのポイント」

項目病気の特性飼い主が守るべき行動
感染経路集団施設での空気・
飛沫感染力が極めて強い。
ドッグランやホテル利用犬は、
ボルデテラ対応の
ワクチン接種を検討する。
症状「カーッ、ゲホゲホ」という激しい、乾いた咳が特徴。首輪からハーネスに変更し、喉への刺激を避ける。
加湿も有効。
リスク子犬・シニア犬は肺炎など
重症化のリスクがある。
咳が続く、発熱、元気がないなどの症状があれば、
速やかに動物病院を受診
する。

ケンネルコフは予防が可能な病気です。

愛犬を感染から守るため、ワクチン接種を確実に行い、咳が出たときには慌てず適切な対処を行いましょう。