【噛み傷の恐怖】わんちゃん同士の喧嘩で噛まれた!小さな傷でも、病院に行くべき理由!

病気・けが
<strong><span class="fz-16px">飼い主さん</span></strong>
飼い主さん

うちの子が他の犬に噛まれたけど、
血も出てないし、ただの引っかき傷みたいで大丈夫そう…

<strong><span class="fz-16px">飼い主さん</span></strong>
飼い主さん

消毒液を塗って様子を見ようかと思っているけど、
それで本当に治るの?

わんちゃん同士の喧嘩で愛犬が噛まれた場合、飼い主さんはショックと動揺で冷静な判断が難しくなりがちです。

しかし、噛み傷は、見た目の小ささに騙されてはいけない、最も危険な外傷の一つです。

わんちゃんの咬み傷が深刻なのは、単なる皮膚の表面的な怪我ではなく、「穿刺創(せんしそう)という特殊な構造をしているからです。

傷口が小さくても、牙は皮膚の下の組織を深く突き破り、大量の細菌を体内に持ち込み、感染症を引き起こすリスクを常に抱えています。

この記事では、なぜ小さな咬み傷でも「必ず動物病院を受診すべき」なのか、その科学的な理由を徹底解説します。
そして、万が一噛まれた際の正しい止血・応急処置と、絶対にしてはいけないNG行為を知り、愛犬を重篤な感染症から守りましょう。

噛み傷の恐怖!「穿刺創」と「氷山の一角」

咬み傷の危険性は、その構造にあります。
わんちゃんの牙による傷は、専門的には「穿刺創」として扱われます。

深部感染のリスク:穿刺創のメカニズム

わんちゃんの口内は、数十種類もの細菌(常在菌)で満たされています。

  1. 牙が皮膚を貫通する: 鋭い牙が皮膚の下にある皮下組織や筋肉にまで到達する。
  2. 細菌の閉じ込め: 牙が抜けると、皮膚の表面はすぐに収縮して閉じ、持ち込まれた細菌を体に閉じ込めてしまいます
  3. 嫌気性菌の増殖: 傷の奥深くは酸素が行き届きにくく、酸素を嫌う嫌気性菌(クロストリジウム属など)が増殖しやすい環境が整ってしまいます。

「氷山の一角」に潜む深部損傷

私たちが外から見ている傷口は、問題の「氷山の一角」に過ぎません。

  • 皮下組織の剥離(ポケット): 皮膚の下で、筋肉や脂肪組織が広範囲に剥離(剥がれる)している場合があります。この剥離した空間に血液やリンパ液が溜まり、細菌の格好の栄養源となってしまいます。
  • 血管・神経・骨への損傷: 首や胸など、重要な器官の近くを噛まれた場合、内出血、気胸、神経麻痺といった、命に関わる深刻な損傷が発生している可能性があります。

小さな傷から重篤な「膿瘍」へ!

咬み傷を放置した場合、数日後に最も頻繁に起こる合併症が膿瘍(のうよう/アブセス)です。

膿瘍の発生と全身症状

体内に閉じ込められた細菌が増殖し続けると、体がそれを排除するために免疫反応を起こし、膿が溜まった袋状の塊(膿瘍)を形成します。

  • 症状: 噛まれた数日後、患部が硬く熱を持って大きく腫れ上がります。
  • 全身への影響: 発熱、元気消失、食欲不振といった全身症状が現れ、愛犬は激しい痛みに苦しみます。
  • 敗血症のリスク: 膿瘍がさらに悪化し、細菌が血液に乗って全身を巡ると、敗血症(はいけつしょう)という命に関わる状態に陥る危険性があります。

治療には「抗生物質」と「デブリドマン」が必要

咬み傷の治療には、獣医師による専門的な処置が不可欠です。

  • 抗生物質の投与: 口内細菌に対応できる適切な種類の抗生物質を投与します。
  • デブリドマン(外科的清浄化): 膿瘍を破裂させ、内部の膿や壊死した組織を掻き出す外科処置が必要となるケースがほとんどです。
    この処置を行うことで、初めて傷の治癒が促進されます。

緊急時に命を守る「正しい応急処置」

愛犬が噛まれた際の応急処置は、「止血」と「洗浄」に集中し、決して傷口を塞がないことが鉄則です。

冷静になり、愛犬を確保する

  • まずは愛犬を落ち着かせ、二次的な事故(再び興奮して逃げるなど)を防ぐために確保します。愛犬も興奮しているため、飼い主さんが噛まれないよう注意が必要です。

清潔な流水で傷口を洗浄

  • 目的: 細菌や土、唾液などの異物を洗い流す。
  • 方法: 清潔な流水(水道水)を傷口に優しくかけ、異物を洗い流します。

「圧迫止血」を行う

  • 方法: 清潔なガーゼやタオルを傷口に当て、数分間、強く一定の力で圧迫し続けます
    血で濡れてもガーゼを取り替えず、上から重ねて圧迫を続けます。

絶対NG!消毒や自己判断での投薬

  • 消毒液は使用しない: 市販のアルコール系などの刺激の強い消毒液は、傷を治そうとする健康な細胞まで破壊し、治癒を妨げます。
  • 傷口を密閉しない: 傷口をテープなどで密閉すると、内部で酸素が不足し、嫌気性菌がさらに増殖しやすくなります。洗浄後、清潔なガーゼで軽く覆う程度に留めます。

病院へ行く判断基準と、準備!

結論として、犬同士の咬み傷は、血が出ていなくても、小さな傷でも、全て動物病院を
受診してください。

病院への連絡と準備

  • 事前連絡: 病院へ向かう前に必ず電話で連絡し、「咬み傷であること」「噛まれた時間」「愛犬の現在の様子(ぐったりしていないかなど)」を伝えます。
  • エリザベスカラーの装着: 患部を舐めて細菌をさらに持ち込んだり、悪化させたりしないよう、エリザベスカラーを装着して保護しましょう。

隠れた損傷のチェック

特に、噛まれた直後は興奮やショックで痛みが麻痺していることがあります。
以下のサインが見られたら、ショックや深部の損傷が疑われます。

  • 足を引きずっている(腱や神経の損傷)。
  • 呼吸が速い、浅い(胸部の損傷やショック)。
  • 噛まれた部位を触られるのを極端に嫌がる(強い痛み)。

まとめ:咬み傷処置の「命を守る3原則」

処置の原則目的と確認事項病院へ行くべきサイン
1. 穿刺創の理解小さな傷でも深部に細菌が閉じ込められている。出血がなくても、全ての咬み傷は受診対象。
2. 正しい応急処置傷の悪化を防ぎ、感染リスクを最小限にする。清潔な流水で洗浄後、圧迫止血。消毒液は使わない。
3. 早期専門治療膿瘍、敗血症など、命に関わるリスクを回避する。噛まれた直後から、必ず抗生物質の投与と傷のチェックを受ける。

愛犬の咬み傷への対応は、一瞬の判断が重要です。

この記事で学んだ知識を活かし、見た目に騙されず、愛犬を重篤な感染症から守りましょうね。