【遺伝性疾患の秘密】わんちゃんの「純血種」が持つ病気の傾向！ 近親交配が招く、リスクと予防法！

飼い主さん

うちの犬種（ゴールデン・レトリーバー）は、
股関節の病気になりやすいって本当？

飼い主さん

人気の純血種だけど、
実は特定の病気のリスクが高いって聞いたけど大丈夫？

特定の犬種が「遺伝しやすい病気」を持っていることは、飼い主なら誰もが知っておくべき重要な事実です。

この遺伝性の傾向は、犬種の外見や能力を固定するために繰り返されてきた「近親交配（インブリーディング）」の結果、特定の病気の原因となる「劣性遺伝子」が表面化しやすくなったことが大きな理由です。

純血種が持つ遺伝性疾患のリスクを理解することは、愛犬の健康を長く保つための「予防的な知識」となります。

早期に病気のサインを知り、適切な予防や定期的な検査を行うことで、発症を遅らせたり、重症化を防いだりすることが可能です。

この記事では、まず純血種が遺伝性疾患を持ちやすいメカニズム（近親交配の科学）を解説します。

次に、人気犬種が特に注意すべき代表的な遺伝性疾患を具体的に提示します。

そして最後に、愛犬の遺伝的なリスクを把握し、病気の予防とQOL（生活の質）を向上させるための飼い主の具体的な行動を徹底解説します。

純血種が病気になりやすい「科学的な秘密」
1. 近親交配（インブリーディング）による遺伝子の均一化
2. 「劣性遺伝子」の顕在化
人気犬種が注意すべき「代表的な遺伝性疾患」
遺伝的なリスクを軽減する「飼い主の行動」
まとめ：遺伝性疾患のリスクを管理する「３つの知識」

純血種が病気になりやすい「科学的な秘密」

純血種は、その魅力的な容姿や能力を何世代にもわたって維持するために、特定の個体群の中で交配が繰り返されてきました。
この過程が、遺伝性疾患のリスクを高めています。

近親交配（インブリーディング）による遺伝子の均一化

メカニズム: 血縁関係の近いわんちゃん同士を交配させると、親から子に伝わる遺伝子のバリエーション（多様性）が低下します。
これにより、集団内のすべてのわんちゃんが、似たような遺伝子の組み合わせを持つようになります。
危険性: 遺伝子の多様性が失われると、集団内に潜んでいた「特定の病気を引き起こす劣性遺伝子」が、両親から子に同時に受け継がれやすくなり、病気として表面化する確率が大幅に上昇します。

「劣性遺伝子」の顕在化

劣性遺伝: 遺伝性疾患の多くは、病気の原因となる遺伝子を両親から一つずつ受け取って初めて発症する「劣性遺伝」の性質を持っています。
純血種のリスク: 近親交配が進んだ純血種では、この劣性遺伝子を持つ確率が高く、結果としてその犬種特有の病気（遺伝病）が蔓延しやすくなります。

犬種（例）	遺伝しやすい疾患	症状（早期サイン）
ゴールデン・レトリーバー	股関節形成不全、肘関節異形成、心臓病（大動脈弁狭窄症）、特定のがん	若齢期からの歩き方の異常（スキップ、ふらつき）、散歩を嫌がる。
ダックスフンド	椎間板ヘルニア	背中を痛がる、震える、ジャンプを嫌がる、後ろ足の麻痺。
キャバリア・キングチャールズ・スパニエル	僧帽弁閉鎖不全症（心臓病）、脊髄空洞症（CS）	乾いた咳や息切れ、首や頭の激しい痛み。
フレンチ・ブルドッグ	短頭種気道症候群	激しいパンティング、いびき、興奮時の呼吸困難。
シーズー	腎形成不全、眼瞼内反症	多飲多尿（腎臓）、目ヤニが多い、まぶたの炎症。

遺伝的なリスクを軽減する「飼い主の行動」

遺伝的なリスクは変えられませんが、発症を防いだり、進行を遅らせたりするために、飼い主ができる具体的な行動があります。

ブリーダーの健全性を確認する

選択基準: わんちゃんを迎える際、遺伝性疾患の検査結果（例：股関節形成不全の評価結果）を開示している、健全な繁殖を行っているブリーダーを選ぶことが、リスクを避ける最も重要な第一歩です。
家系図: 親犬だけでなく、祖父母犬までの健康情報や、遺伝性疾患の発症履歴を確認しましょう。

遺伝子検査の活用

活用: 血液検査などで、愛犬が特定の遺伝子疾患の「保因者（キャリア）」であるか、または「発症リスク」があるかを検査できる場合があります。
メリット: リスクが判明した場合、発症前に食事や運動、サプリメントなどの予防策を講じることができます。

「発症させない」ための予防的なケア

体重管理: 股関節や椎間板の疾患リスクがある犬種は、理想的な体重を維持することが、関節への負担を減らす最大の予防策となります。
定期的なスクリーニング: リスクのある疾患（例：心臓病、関節疾患）については、症状がなくても定期的にレントゲン検査やエコー検査などのスクリーニング検査を獣医師と相談して実施しましょう。
環境整備: ダックスフンドなど、ヘルニアリスクのある犬種には、段差や階段にスロープを設置し、背骨に負担のかかるジャンプをさせない環境を整えます。

まとめ：遺伝性疾患のリスクを管理する「３つの知識」

知識	目的と意味	飼い主がすべき具体的な行動
１. 遺伝的傾向の把握	愛犬の犬種が持つ特有の遺伝性疾患を知る。	獣医師と相談し、リスクに基づいた定期的な検査の計画を立てる。
２. 近親交配のリスク	遺伝子の均一化が劣性遺伝病を表面化させる最大の要因である。	信頼できるブリーダーから遺伝子検査結果を確認してわんちゃんを迎える。
３. 予防的QOLの向上	遺伝的リスクがあっても、生活環境で発症を遅らせることができる。	体重管理と、関節に負担をかけない環境整備を徹底する。