
飼い主さん
愛犬が用を足した後に、
一生懸命後ろ足で土を掘っているけど、
あれは何の意味があるの?

飼い主さん
急に立ち止まってカキカキを始めたら、
何かストレスを感じているのかな?
散歩中、愛犬が排泄を終えた後や、特定の場所で急に後ろ足で地面を激しく引っかく(通称「カキカキ」)行動を見たことがある飼い主さんは多いでしょう。
一見すると、排泄物を隠そうとしているように見えたり、ただ土で遊んでいるように思えたりしますが、この「カキカキ」は、わんちゃんの本能的で科学的な意味を持つ、重要なコミュニケーション手段なのです。
この行動は、単なる気まぐれではなく、「縄張りの主張」「自己アピール」「興奮の表れ」など、愛犬の複雑な心理状態や、次の行動を決定する重要な情報を含んでいます。
この記事では、まず愛犬が地面をカキカキする科学的な「マーキングの仕組み」を解説します。
次に、その行動が示す「隠された4つの感情と意図」を読み解き、最後に、カキカキが問題行動化しないための飼い主さんの正しい接し方を徹底解説します。
カキカキは「目立つマーキング」である(科学的根拠)!
わんちゃんの「カキカキ」は、排泄物を隠すための行動ではありません。
これは、視覚と嗅覚の両方を使った、非常に強力な縄張り(マーキング)行動です。
足の裏の「臭腺」からニオイを放出
- 臭腺の存在: わんちゃんの足の裏(肉球と指の間)には、エクリン汗腺と呼ばれる特殊な臭腺(分泌腺)が集中しています。
- ニオイの伝達: カキカキによって地面を引っかくとき、この臭腺からそのわんちゃん特有のフェロモンやニオイが分泌され、地面に強く擦り付けられます。
- 効果: 排泄物(尿)のニオイと、足の裏のニオイの両方をミックスすることで、「ここに来たのは自分だ」という情報を他のわんちゃんに対してより強力にアピールしているのです。
視覚的な「主張」
- 視覚的サイン: わんちゃんはマーキングをする際、尿のニオイだけでなく、引っかいた後の土や芝生の乱れ(地面の傷)を、他のわんちゃんに見える視覚的な主張として残します。
- 意味: 「このニオイの持ち主は、こんなに力強く、エネルギッシュなわんちゃんだぞ」とい
アピールにもなっています。
愛犬がカキカキする「4つの隠された感情」
カキカキの行動は、ニオイ付けだけではなく、その時の愛犬の感情や心理状態を反映しています。
縄張りの主張(最も一般的)
- 場所: 他のわんちゃんのニオイが強く残る場所、自分の尿や便をした直後。
- 心理: 「このエリアは自分の縄張りだ」「自分のニオイを上書きして、他のわんちゃんに知らしめたい」という強い主張の表れです。
特に気の強いわんちゃんや、オスわんちゃんに多く見られます。
興奮や喜びの表現
- 場所: 大好きな友達のわんちゃんに会った直後、お気に入りのおもちゃを見つけたとき、大好きな飼い主に褒められた直後。
- 心理: 感情が過剰に高揚したとき、そのエネルギーを発散するためにカキカキをすることがあります。
これは、感情的なスイッチを切り替えるための一種の行動とも言えます。
不安やストレスの発散
- 場所: 見知らぬわんちゃんに威嚇された後、慣れない場所で緊張したとき。
- 心理: ストレスや緊張を感じたとき、「転移行動」としてカキカキを行うことがあります。
これは、本心とは別の行動に集中することで、感情的な葛藤を回避しようとする行動です。
自己アピールと優位性の誇示
- 場所: 自分の行動を他のわんちゃんや、飼い主が見ているとき。
- 心理: 激しくカキカキすることで、「自分は強く、優秀だ」という自己アピールや優位性を誇示していることがあります。
問題行動化を防ぐ「正しい飼い主の対応」
カキカキ自体はわんちゃんの本能的な行動ですが、止めさせたい場合や、過度な縄張り主張にならないようコントロールする場合は、適切な対応が必要です。
カキカキは止めさせなくて良いが、「場所」は選ぶ
- 基本: 縄張り行動はわんちゃんにとって自然な欲求なので、無理に止めさせるとストレスになる可能性があります。
- 場所のコントロール: 誰かの家の庭、公園の遊具のそば、農地など、他の人に迷惑がかかる場所では、リードをコントロールしてカキカキを中断させましょう。
興奮と主張をエスカレートさせない
- 無視が基本: 愛犬がカキカキを始めたら、大声で叱ったり、止めさせようと騒いだりしないでください。
叱ることで、愛犬は「飼い主が注目してくれた」と勘違いし、行動がエスカレートする可能性があります。 - リードで誘導: 興奮してカキカキを始めたら、リードを軽く引き、その場から冷静に立ち去ることで、興奮を鎮めるように誘導しましょう。
「待て」で感情をコントロールさせる
- トレーニング: カキカキが始まるタイミングを見計らって「待て」や「座れ」などの指示を
出し、愛犬に自分の感情や衝動を制御させる練習をさせます。 - 成功したら褒める: 指示に従ってカキカキを止めることができたら、すぐにご褒美を与えて褒めることで、「衝動を抑えること=良いこと」と学習させます。
不安のサインを見逃さない
- ストレスチェック: カキカキが興奮ではなく、不安や緊張から来ていると判断できる場合(例:耳が寝ている、体が震えている)、そのカキカキを許容し、その場から愛犬を安心できる場所に移動させてあげましょう。
まとめ:カキカキから読み解く愛犬の気持ち!

| 行動の要素 | 目的と心理 | 飼い主の対応 |
| 臭腺からのニオイ付け | 縄張りの主張(嗅覚) | 他人に迷惑がかかる場所でのみ、静かに誘導して中断させる。 |
| 地面の引っかき傷 | 自己アピール(視覚) | 過剰な興奮や主張の場合は無視して冷静にその場を離れる。 |
| 興奮・ストレス | 感情の発散(転移行動) | 「待て」などの指示で衝動を抑制させ、褒めるトレーニングを行う。 |
愛犬の「カキカキ」は、単なる面白い行動ではなく、他のわんちゃんに向けた「強力なメッセージ」です。
この行動の意味を理解することで、愛犬の心理状態を深く読み取り、散歩中のコミュニケーションをさらに豊かにしていきましょうね。


