
食事量は変わっていないのに、
最近なんだか痩せてきた気がする…

フードを変えても体重が戻らない。
まさか重い病気なの?
愛犬の「体重の減少」は、飼い主様が真っ先に気づくべき最も危険なサインの一つです。
単純な食欲不振や運動量の増加だけでなく、体内で栄養が吸収されていない、あるいは体内のエネルギーが異常に消費されているという、重大な病気が隠れている可能性があります。特に、食事量は変わらないのに体重が減り続けている場合は、悪性腫瘍(癌)や重度の代謝異常が進行している可能性があり、一刻も早い原因究明が必要です。
この記事では、まず危険な体重減少の判断基準を解説し、体重管理の重要性を再認識します。
次に、体重減少を引き起こす「隠れたがん」や「栄養吸収障害」といった、重大な病気を徹底解説します。そして最後に、愛犬の体重を正しく把握するための家庭での測定方法と、病院へ持っていくべき情報について解説します。
危険な体重減少の判断基準!
体重減少は、愛犬の体の状態を示す最も客観的なデータです。
「危険」とされる体重減少のレベル
わんちゃんにおいて、通常体重の10%以上の急激な減少は、何らかの深刻な病気が進行している可能性が高いと判断されます。
- 例: 体重10kgの犬が、短期間(数ヶ月以内)に1kg以上痩せた場合。
なぜ体重が減るのか?3つのメカニズム
病気が原因で体重が減少する主なメカニズムは以下の3つです。
| メカニズム | 具体的な原因となる病気 |
| 1. 栄養吸収障害 | 炎症性腸疾患(IBD)、腸管リンパ腫、膵外分泌不全 |
| 2. エネルギーの過剰消費 | 悪性腫瘍(癌)、甲状腺機能亢進症、慢性感染症 |
| 3. 食事量の不足 | 慢性腎臓病、口腔内の痛み、食欲不振を伴う様々な病気 |
「食事量が減っていないのに痩せる」場合は、特に上記1と2のメカニズムが強く疑われ、緊急性が高まります。
体重減少から疑うべき「隠れたがん」と、消化器系の病気!
体重減少は、進行した癌や、消化器系の重度の炎症のサインであることが多々あります。
消化器系の「吸収障害」が原因の場合
- 炎症性腸疾患(IBD): 腸の慢性的な炎症により、栄養を吸収する能力が低下します。嘔吐や下痢を伴いますが、症状が軽度でも吸収障害だけが進行し、痩せることがあります。
- 腸管リンパ腫: 腸管にできる癌の一種で、腸の壁を厚くし、栄養の通り道と吸収を妨げます。体重減少が顕著です。
- 膵外分泌不全(EPI): 膵臓が消化酵素を分泌できなくなる病気。食べたものがほとんど消化されず、そのまま便として排出されます。大量の便を伴う体重減少が特徴です。
代謝異常・癌による「過剰消費」が原因の場合
- 癌(悪性腫瘍): 体内のどこかにできた癌細胞が、正常な細胞の栄養やエネルギーを横取りし、大量に消費します。このため、十分な食事をとっていても体重が減少します。特に発見が難しい内臓の癌(脾臓、肝臓、肺など)が疑われます。
- 甲状腺機能亢進症(稀): 代謝を促す甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、カロリーを異常に燃焼してしまう状態。元気がありすぎるように見えるのに痩せていくのが特徴です。(※猫に多く、犬では稀ですが、注意が必要です)
病院で伝えるべき情報と、検査の流れ!
体重減少は客観的なデータが必要なため、正確な情報が診断に不可欠です。
病院に持っていくべき3つの情報
- 体重の推移の記録: 過去数ヶ月間の体重測定の記録(グラフがあると理想的)
- 食事量の変化: いつから、どれくらいの量を与えているか。食欲の有無。
- 便や嘔吐の記録: 下痢や嘔吐の頻度、便の量や状態(脂肪便、血便など)
主な検査
- 血液検査: 肝臓・腎臓の機能、血糖値、炎症マーカー(CRP)、甲状腺ホルモン値などを測定し、代謝異常や炎症の有無を確認します。
- 画像診断(レントゲン・エコー): 消化管の異常(腸壁の厚み)、腫瘍の有無、臓器の肥大などを確認し、隠れた癌を探します。
- 特殊検査: 消化吸収能力を調べるための特殊な血液検査(EPIの診断など)や、IBD/リンパ腫の確定診断のための内視鏡検査(生検)が必要となることがあります。
家庭での体重管理と、予防のコツ!
体重管理は、特別なことではなく日々のルーティンに組み込みましょう。
定期的な体重測定の習慣化
- 頻度: 健康な成犬でも月に1回は体重を測定し、記録する習慣をつけましょう。
- 体重計: 小型犬はキッチンスケール、中型〜大型犬は人間用の体重計に抱きかかえて乗り、飼い主の体重との差を計算する方法で測定します。
体型評価(BCS)の活用
体重の数値だけでなく、ボディコンディションスコア(BCS)を用いて体型を評価します。
- BCS 1-9: 理想的な体型はBCS 4〜5です。肋骨を触って、薄い脂肪の下に簡単に触れるのが理想です。
- 痩せすぎのサイン: 肋骨や腰骨が肉眼で容易に見える、または触ったときに脂肪のクッションが全くない場合は、危険なサインです。
まとめ|「痩せた」は体からのSOSかもしれない!

| 緊急行動 | 目的と効果 | 飼い主がすべき具体的な行動 |
| 1. 記録の準備 | 急激な減少であることを客観的に証明する。 | 過去の体重を思い出し、体重計で正確な数値を測り、2週間以内の変化を記録する。 |
| 2. 痩せ方の観察 | 栄養吸収障害か過剰消費かを推測する。 | 「食事量が減っているか」「便の量や状態はどうか」「元気や活動性はどうか」を細かく観察する。 |
| 3. 早期の画像検査 | 隠れた内臓の癌や消化管の異常を見逃さない。 | 獣医師に「体重減少の原因を特定したい」と伝え、血液検査と腹部エコー検査を依頼する。 |
体重減少は、病気がかなり進行してから現れることが多い症状です。日々のスキンシップの中で愛犬の体型をチェックし、早期のSOSサインを見つけてあげましょうね。


