
愛犬が突然、お腹を痛がり始めた。
単なる食べ過ぎか、それとも重い病気?

吐こうとしているのに何も出てこない。
この症状は危険なサインなの?
愛犬が嘔吐したり、お腹が膨れて苦しそうにしているのを見ると、飼い主としてはパニックに
陥ります。
特に大型犬の飼い主さんにとって、「胃捻転(いねんてん)」(GDV: Gastric Dilatation-Volvulus)は、わずか数時間で愛犬の命を奪いかねない、わんちゃんの病気の中で最も緊急性の高い疾患の
一つです。胃捻転は、胃がねじれることで、食物やガスが胃の中に閉じ込められ、血液の循環を遮断してしまう状態です。処置が遅れると、ショック状態に陥り、回復が非常に困難になります。
この記事では、まず胃捻転の恐ろしさを解説し、単なる食後の不調と胃捻転を「どう見分けるか」という具体的なチェックポイントを提示します。
次に、緊急度の判定基準と、病院へ搬送するまでの「命をつなぐ応急処置」を徹底解説します。
知っておくべき「胃捻転」の恐ろしさ!
胃捻転は、その進行の速さから「犬のタイムリミット病」とも呼ばれます。
発症からショック状態までの、タイムリミット
- 進行速度: 胃がねじれると、胃に通じる血管や、胃から体に戻る静脈が圧迫され、血液の循環が停止します。
- 致命的な影響: 胃の組織が壊死を始め、ショック状態(全身の機能低下)に陥るまでの時間は、わずか数時間と言われています。このため、「様子を見る」という選択肢は存在しません。
なりやすい犬種と状況
胃捻転は、胸が深く、体が細い大型犬や超大型犬に特に多く見られます。
- 好発犬種: ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバー、ジャーマン・シェパード、グレート・デーン、ドーベルマンなど。
- 発症しやすい状況:
- 食後すぐの激しい運動や、水を大量に飲むこと。
- 一日一回の大食い(胃が大きく膨らむ)。
- 高齢犬(胃を支える靭帯が緩むため)。
緊急度を見分ける「3つの絶対サイン」
愛犬が嘔吐したり、お腹が膨らんだりしたとき、以下の3つのサインの有無で、胃捻転の緊急度を判断してください。
サイン1:【嘔吐の異常】吐こうとするが、何も出ない
- 症状: 激しくえずく、吐き出そうと努力する(嘔吐姿勢をとる)にもかかわらず、白い泡や唾液、少量の粘液しか出てこない、または全く何も出てこない。
- 理由: 胃のねじれによって、食道と胃の間の出口が完全に塞がれているためです。
これは胃捻転の最も特徴的なサインです。
サイン2:【腹部の異常】急激な「腹部膨満」
- 症状: 食後や運動後に、急にお腹(特に左側)がパンパンに張る。叩くと太鼓のような「ポンポン」という音がする。
- 理由: ねじれた胃の中でガスが大量に発生・貯留し、逃げ場がないために腹部が膨張します。
サイン3:【全身の異常】激しい痛みと呼吸の乱れ
- 症状: 激しく痛がり(唸る、丸くなる)、呼吸が浅く速くなる(パンティング)、歯茎(歯肉)の色が白っぽくなる(血行不良)。
- 理由: 強い痛みと、ねじれた胃が横隔膜を圧迫することによる呼吸困難、そしてショックの
始まりを示しています。
単純な胃炎・食べ過ぎとの違い 単純な胃炎や食べ過ぎによる嘔吐の場合、胃の内容物や食べたものが吐き出されます。また、腹部の張りが急激ではなく、嘔吐後にある程度落ち着くのが一般的です。
胃捻転と混同しやすい嘔吐・下痢の原因と見分け方は、
👉 「犬の下痢・嘔吐の対処法」原因・チェックポイントと家庭でできるケア!
をご覧ください。
命をつなぐ「緊急応急処置」と搬送法!
胃捻転が強く疑われる場合、一刻も早く病院へ到着することが、愛犬を救う唯一の道です。
病院に向かうまでの間に、以下の応急処置を行います。
「まずは連絡」が最優先
- 行動: 移動を開始する前に、必ず病院に電話を入れます。
- 目的: 「大型犬の胃捻転の疑いがある」と伝えることで、病院側は手術チームや麻酔科医、
検査室の準備を整え、到着後すぐに処置(開腹手術や胃の減圧)を開始できるようになります。
絶対安静と加温
- 行動: 愛犬を抱きかかえず、体を安定させた状態で(例:毛布や担架代わりの板に乗せて)
車に乗せます。 - 理由: 胃捻転のわんちゃんはショック状態に移行しやすいため、保温が非常に重要です。
毛布などで愛犬を優しく包み、体温の低下を防ぎます。
水分補給は「厳禁」
- 行動: 苦しそうにしていても、水や食べ物を絶対に与えてはいけません。
- 理由: 水を与えると、胃の中でさらにガスが発生し、胃の膨張を悪化させる危険性があるためです。
予防と対策:胃捻転を避けるための、生活習慣!
胃捻転は予防が可能な疾患です。日々の生活で以下の点に注意することで、発症リスクを大幅に下げることができます。
- 1回の食事量を減らす: 1日の食事を2〜3回に分けて与え、一度に胃が大きく膨らむのを
避けます。 - 食後1時間の安静: 食後1時間は、激しい運動、遊び、大量の飲水を厳禁とします。
- 早食い防止対策: フードボウルを工夫する(早食い防止用ボウル、食器台の設置など)ことで、空気の飲み込みすぎを防ぎます。
急な嘔吐や腹部不調を起こす“中毒・誤食”の判断基準は、
👉 「命に関わる!」わんちゃんの中毒事故<危険な食べ物>最速排出の判断基準と、自宅処置NG集!
をご覧ください。
まとめ — 早期発見と迅速対応が“命を救う”

| 症状 | 緊急度の判断 | すぐにすべきこと |
| 吐き気があるのに 何も出ない | 超緊急 (胃捻転の可能性大) | 直ちに病院へ連絡し、 保温して搬送準備。 |
| お腹が急にパンパンに 張っている | 超緊急 (胃捻転の可能性大) | 水や食べ物を与えず、 最短ルートで病院へ。 |
| 激しい痛み、 ぐったりしている | 超緊急 (ショック状態移行の危険) | 体温の低下を防ぎ、 静かに病院へ搬送。 |
愛犬の命を守るためには、胃捻転のサインを知り、迷わず行動することがすべてです。特に大型犬を飼っている方は、これらのサインを常に意識して、愛犬の健康を見守りましょうね。
「本記事は、複数の動物行動学および獣医学の専門家の知見に基づき構成されています。」
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👉 「犬が元気がないときに考えられる原因と対処法」見逃せないサイン!
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