
愛犬が寝ている間に足がピクピクしたり、
小さな声で『クンクン』と鳴いたりしているけど、
もしかして夢を見ているの?

無理に起こした方がいいのか、
そのままにしておくべきか迷ってしまう…
愛犬が安心しきって眠っている姿は、飼い主にとって何より癒やされる光景です。
しかし、ときどき見せる「ピクピク」や「パタパタ」といった不随意な動きは、「何を見ているのだろう?」「大丈夫かな?」という疑問や不安を抱かせます。
この不思議な行動こそ、愛犬の脳が活発に活動し、日中の体験や記憶を整理している証拠であり、わんちゃんの複雑な睡眠サイクルの秘密が隠されています。
人間と同じように、わんちゃんにとっても質の高い睡眠は、心身の健康、記憶力、そして感情の安定に不可欠です。
この記事では、まずわんちゃんの睡眠サイクルの、科学的な秘密を解き明かします。次に、ピクピク動く理由を明確にし、愛犬が夢を見ているとき飼い主が取るべき「正しい接し方」を解説します。そして最後に、愛犬が毎日ぐっすり眠れるための最高の環境づくりを徹底解説します。
「犬も夢を見る」って本当? — 科学が示す睡眠のサイクル
人間と同様に、わんちゃんの睡眠も大きく分けて「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の2つの状態を繰り返しています。この2つのサイクルの違いこそが、「ピクピク」行動の鍵です。
ノンレム睡眠(NREM):体と脳の、深い休息
- 状態: 脳波がゆっくりになり、深い眠りに入ります。
- 役割: 主に体の疲労回復や成長ホルモンの分泌が行われます。
わんちゃんが体を丸めて静かに寝ている状態の多くは、このノンレム睡眠です。
レム睡眠(REM):脳が活発に動く「夢」の時間
- 状態: 急速眼球運動(Rapid Eye Movement)が起こることから名付けられました。
体は完全に弛緩(しかん)していますが、脳は日中活動しているときと同じくらい活発に動いています。 - 役割: 記憶の整理、感情の処理、学習内容の定着が行われます。
人間が夢を見るのと同様に、わんちゃんもこのレム睡眠中に夢を見ていると考えられています。
わんちゃんの睡眠の特徴
わんちゃんは、獲物から身を守るために浅い眠り(ノンレム睡眠)の時間が長く、短時間で深い眠りと浅い眠りを繰り返す「多相性睡眠」が特徴です。
そのため、人間よりもレム睡眠の時間は短く、その分、濃密な夢を見ていると推測されます。
犬に必要な睡眠時間や、快適に眠るための環境づくりについては、
👉 「犬の睡眠ガイド」必要な睡眠時間と、快適に眠るためのポイント!
をご覧ください。
犬はどんな夢を見ているのか? — 日中の体験が夢に反映される可能性
愛犬がピクピク動くのは、まさに脳が日中の体験を「再生」し、夢を見ているレム睡眠の最中に起こる現象です。
「ピクピク」「パタパタ」の正体
レム睡眠中は、脳が体の筋肉を麻痺させる「アトニア」という仕組みが働きますが、わんちゃんの場合、このアトニアが完全には機能しないことがあります。
- 足のピクピク: 夢の中で走っている、散歩しているといった動作を再現している可能性があります。
- 口元のピクピク・カクカク: 夢の中でご飯を食べている、おもちゃを噛んでいるといった動作の再現です。
- クンクン、ウーッという鳴き声: 夢の中で飼い主を呼んでいる、他のわんちゃんと挨拶している、あるいは警戒しているといった、感情の表現です。
愛犬は何の夢を見ているのか?
科学的に特定することはできませんが、わんちゃんの行動学者は、夢はその日の最も印象的だった体験を処理していると考えています。
- 子犬: 新しい場所、新しい人との出会いなど、学習や社会化の記憶。
- 成犬: 散歩のルート、大好きな飼い主との遊び、おやつをもらった記憶など、日常の喜び。
- シニア犬: 昔の記憶や、安心できる場所でのリラックスした体験。
ピクピクしやすい年齢
一般的に、子犬やシニア犬は、レム睡眠の時間が長い傾向があるため、ピクピクする頻度が高いと言われています。子犬は毎日新しいことを学習しているため、脳が活発に記憶を整理する必要があるからです。
見ていて大丈夫? いつ注意が必要? — 正常な夢と“異常”の見分け方
愛犬が激しく動いていても、夢を見ている最中に無理やり起こすのは絶対にNGです。
NG行動:体を揺する、大声で名前を呼ぶ
- 危険性: 夢を見ている状態から急に起こされると、わんちゃんはパニックを起こし、状況を理解できずに反射的に噛みついたり、興奮して走り出したりすることがあります。また、記憶の整理が中断され、睡眠の質が著しく低下します。
優しく起こすための、OK行動
- 見守るのが基本: ほとんどの場合、夢のサイクルが終われば自然と落ち着くので、静かに見守りましょう。
- どうしても起こす場合: 触らずに、愛犬の名前を優しく低いトーンで呼んだり、そっと手を叩いたりして、徐々に意識を現実に戻します。低い声はわんちゃんに、安心感を与えるカーミングシグナルの役割も果たします。
「発作」との見分け方
ピクピクがてんかんなどの発作である可能性もゼロではありません。
- 夢の動き: 断続的で、動きが比較的規則的でない、短時間で終わる。刺激を与えると(声かけなど)反応することがある。
- 発作の動き: 全身が硬直する、手足が激しく痙攣する、よだれを大量に垂らす、意識がなく呼びかけに反応しない。
- 注意: 発作が疑われる場合は、慌てずに安全を確保し、すぐに動物病院に連絡してください。
寝方から分かる気分や体調のチェック方法については、
👉 「寝相でわかる」愛犬の寝方で「今日の気分」も「健康状態」もチェック!
をご覧ください。
より良い“夢&眠り”のためにできること — 愛犬の睡眠環境を整えよう
質の高い睡眠は、愛犬の心と体の健康を保つ土台です。
「安全地帯」としての寝床
- 場所の選択: 騒音がなく、家族の出入りが少ない静かで暗い場所に寝床(クレート、ケージ)を設置します。
- クレートの活用: クレートを「罰を与える場所」ではなく、「最も安心できる避難場所」として認識させることが重要です。
安心して眠れる部屋づくりや、音・光への配慮については、
👉 「愛犬が快適に暮らせる部屋づくり!」室内犬の安全と安心のポイント!
をご覧ください。
体圧分散できる寝具
- 体型に合わせる: 熟睡するためには、体全体を支え、体圧を分散できるベッドが必要です。
特にシニア犬や関節の弱いわんちゃんには、低反発や高反発のマットレスを選び、負担を軽減しましょう。
日中の活動量を調整する
- 運動と知的な刺激: 散歩や遊びで肉体的な疲労を与えるだけでなく、ノーズワークや知育玩具などで知的な疲労(探索欲求の満足)を与えることで、夜間の睡眠の質が格段に向上します。
まとめ — 夢はわんちゃんの心と体の健康のあかし。そっと見守ってあげよう

| 睡眠状態 | 脳の活動 | 体の動き | 飼い主の正しい接し方 |
| ノンレム睡眠 | 低下(休息) | 静止 | 邪魔をせず、静かな環境を提供する。 |
| レム睡眠 | 活発(夢を見る) | ピクピク、クンクン | 無理に起こさない。静かに見守るのが最善。 |
愛犬の「ピクピク」は、彼らが日々の幸せな出来事や経験を夢の中で再生し、記憶として定着させている、成長と心の健康の証です。
この大切な時間を尊重し、愛犬が安心して質の高い睡眠をとれる環境を整えてあげましょうね。


