
夜中に理由もなく吠え続け、家中をさまよっている…

知っているはずの壁や角に頭をぶつけている。
もしかして、うちの子も認知症なの?
愛犬が長寿を迎え、シニア期に入ると、身体的な衰えだけでなく、「認知機能」の低下、すなわち認知症(CDS:Cognitive Dysfunction Syndrome)の症状が現れることがあります。
特に夜鳴きや徘徊といった行動は、飼い主の睡眠や生活を乱すため、精神的な負担も大きくなります。認知症は、「老い」として見過ごされがちですが、早期に発見し、適切なケアや投薬を行うことで、進行を遅らせたり、生活の質(QOL)を大幅に向上させたりすることが可能です。
愛犬の夜鳴きや徘徊は、「助けてほしい」「不安だ」という愛犬からのSOSなのです。
この記事では、まず認知症の主な初期サインを、ご家庭でチェックできるリストとして具体的に提示します。次に、夜鳴きや徘徊が起こる科学的な理由を解説し、愛犬の不安を和らげ、夜間の安眠をサポートする具体的な接し方と環境整備を徹底解説します。
早期発見が鍵!認知症チェックリスト!
以下の項目に当てはまる行動が頻繁に見られるようになったら、獣医師に相談するタイミングです。
見当識障害
| 症状 | 具体的な行動 |
| 徘徊 | 意味もなく家中をぐるぐる歩き回る (特に夜間)。 |
| 閉じ込め | 壁や家具の角に頭を押し付けたまま動けなくなる、知っているはずの場所で迷う。 |
| 行動の異常 | ドアやガラスを通り抜けようとする。 |
社会的な交流の変化
| 症状 | 具体的な行動 |
| 無反応 | 飼い主の名前を呼んでも気づかない、触れ合いを以前より嫌がる。 |
| 分離不安の悪化 | 以前は平気だったのに、飼い主の不在時に 過剰に吠える。 |
| 攻撃性の増加 | 理由もなく、家族や他のわんちゃんに攻撃的になる。 |
活動パターンの変化
| 症状 | 具体的な行動 |
| 睡眠サイクルの逆転 | 昼間に異常に眠り、夜間に起きて夜鳴きや徘徊をする。 |
| 活動量の低下 | 散歩や遊びへの関心がなくなり、自発的な 活動が減る。 |
学習・記憶の低下
| 症状 | 具体的な行動 |
| しつけの忘却 | 簡単なコマンド(おすわりなど)に応じなくなる。 |
| トイレの失敗 | 覚えていたはずのトイレの場所で粗相をする。 |
老犬の食事・運動・介護の考え方については、
👉 「シニア犬との暮らし方ガイド」老犬ケアの基本(食事・運動・介護)!
をご覧ください。
夜鳴き・徘徊の科学的理由と対応!
認知症による夜鳴きや徘徊は、愛犬の「不安」と「見当識の喪失」から起こります。
夜鳴き・徘徊の原因:不安の増大
- 不安の増大: 認知症により、愛犬は「今いる場所がどこなのか」「なぜ自分はここにいるのか」が分からなくなり、強い不安感に襲われます。
- 睡眠リズムの崩壊: 脳の機能低下により、メラトニン(睡眠ホルモン)の分泌サイクルが乱れ、昼夜逆転が起こります。夜間の暗闇と静寂は、愛犬の不安をさらに増幅させます。
夜間安眠のための、接し方
- 叱るの厳禁: 夜鳴きや粗相をしても、絶対に叱ってはいけません。叱ると、不安が増大し、症状がさらに悪化します。
- 静かに誘導: 夜鳴きや徘徊を始めたら、大声を出す代わりに優しく、低い声で名前を呼び、体に触れずに安全地帯(ハウスやベッド)まで誘導します。
- 夜間の適度な光: 完全に真っ暗にせず、フットライトや間接照明を設置し、愛犬が周囲を認識できるようにすることで、見当識障害による不安を軽減します。
毎日できる観察ポイントと多い病気については、
👉 「室内犬のための健康チェック集」 多い病気と毎日できるケアのポイント!
をご覧ください。
QOLを保つための、環境整備とサポート!
認知症の愛犬の生活の質(QOL)を保つために、飼い主さんができる具体的な工夫です。
徘徊対策と安全の確保
- バリケード: 危険な場所(階段、玄関)への侵入を防ぐバリケードを設置し、事故を防ぎます。
- 床の整備: 滑りやすいフローリングは、転倒や関節への負担を増大させます。滑り止めマットを敷き詰め、安全に歩ける環境を整えます。
食事とサプリメント
- 認知症対応フード: DHAやEPA(オメガ3脂肪酸)を強化した、脳の健康をサポートする療法食が市販されています。獣医師に相談して切り替えを検討します。
- 抗酸化サプリメント: ビタミンE、Cなどの抗酸化物質は、脳細胞のダメージを軽減する可能性があります。
日中の活動でリズムを整える
- 午前中の散歩: 午前中に適度な日光浴と散歩を行うことで、崩れた体内時計をリセットし、夜間の安眠につながるように誘導します。
- 知的刺激: 難易度の低いノーズワーク(ニオイ探し)や、簡単なパズルなど、脳を使う遊びを日中に行い、認知機能の維持を促します。
まとめ — 早めの気づきがQOLを守る鍵

| 原則 | 目的と判断基準 | 飼い主がすべき 具体的な行動 |
| 1. 早期発見 | 認知症の進行を遅らせ、 治療を開始する。 | チェックリストを定期的に行い、獣医師に相談する。 |
| 2. 不安の緩和 | 夜鳴きや徘徊の原因である 不安を取り除く。 | 夜間は叱らず、フットライトで周囲を認識できるように する。 |
| 3. 環境整備 | 愛犬の安全を守り、 生活の質を保つ。 | 滑り止めマットを敷き、階段や危険な場所への侵入を制限する。 |
高齢犬の認知症ケアは、愛と忍耐を必要としますが、愛犬の残りの時間を穏やかで安心できるものにしてあげるための、最も大切な贈り物ですね。
年齢に応じた暮らしの整え方については、
👉 「わんちゃんの生涯」飼い主が後悔しないために! 愛犬の年齢別”生活の質(QOL)”向上マニュアル!
をご覧ください。


