【視覚の常識】わんちゃんは「白黒」に見えてるって本当?色の見え方と夜間の驚きの能力!

豆知識
<strong><span class="fz-16px">飼い主さん</span></strong>
飼い主さん

わんちゃんの目は
全部モノクロ(白黒)に見えているんでしょ?

<strong><span class="fz-16px">飼い主さん</span></strong>
飼い主さん

夜になると、
うちの子は私よりずっとよく見えているみたい…

長らく「わんちゃんの視界は白黒」というのが一般的な常識でしたが、これは誤解です。

近年の動物眼科学の研究により、わんちゃんは人間とは異なるものの、限定的ながらも色を識別する能力を持っていることがわかっています。

わんちゃんの視覚は、人間のように色を識別することよりも、暗闇での行動や動きの検出に特化して進化してきました。

愛犬が世界をどのように見ているかを知ることは、遊び方、しつけ、そして生活環境を最適化するために非常に重要です。

例えば、愛犬が認識しにくい色のおもちゃを選んでしまうと、遊びへの興味を失わせる原因にもなりかねません。

この記事では、まずわんちゃんの「色の見え方」の科学的な真実を解説し、「白黒ではない」証拠を提示します。

次に、わんちゃんの目が持つ「動体視力」と「夜間視力」という、間を遥かに凌駕する驚きの能力を解き明かします。そして最後に、愛犬の視覚特性に合わせた最高の生活環境づくりを
徹底解説します。

白黒ではない!わんちゃんの「二色型色覚」の真実!

わんちゃんは色覚異常を持っているわけではありません。
彼らの目の構造は、色を捉える細胞の数が人とは異なるために、見え方が限定的なだけです。

色の見え方を決める「錐体細胞」

生物が色を識別するために必要なのは、網膜にある錐体細胞(すいたいさいぼう)です。

  • 人間(三色型色覚): 錐体細胞が3種類(赤、緑、青に対応)あるため、多様な色を識別できます。
  • 犬(二色型色覚): 錐体細胞は2種類(青と黄色に対応)しかありません。

わんちゃんに見える色と、見えない色

わんちゃんの視界は、私たち人間が色覚異常を持つ人(赤と緑の区別が難しい)と似た見え方になります。

人間が識別できる色わんちゃんの視界での
見え方
遊びやおもちゃ選びのヒント
青、紫青色や濃淡として識別できる。最も識別しやすい色
黄、黄緑、橙黄色や薄い灰色として識別できる。青の次に識別しやすい色。
赤、緑識別が困難で、主に灰色や茶色の濃淡に見える。赤や緑のおもちゃは、背景(芝生など)に紛れて見つけにくい。
  • 結論: わんちゃんは世界をとその濃淡をベースとした色で見ているため、「白黒」ではありませんが、赤や緑といった特定の色は識別できていません。

わんちゃんが、人より優れている「2つの驚異的な能力」

わんちゃんは色覚では人に劣りますが、その代わりに夜間視力と動体視力という、生存に不可欠な能力を極限まで進化させています。

驚異的な「夜間視力」

わんちゃんの目は、人間よりも遥かに暗闇での光を捉える能力に優れています。

  • 桿体細胞の量: 網膜にある光を感知する桿体細胞(かんたいさいぼう)が、人間よりも圧倒的に多いです。これにより、わずかな光でも捉えることができます。
  • タペタム(輝板)の存在: わんちゃんの目には、網膜の裏側にタペタム(輝板)という鏡のような構造があります。
    これは、網膜を通り抜けた光を反射させて再び網膜に戻すことで、光を2度利用することができ、暗闇での視力を格段に高めています。
    (夜間にわんちゃんの目が光って見えるのはこのタペタムによるものです。)
  • 夜間視力: 人間の4〜5倍の暗闇での視力があると言われています。

圧倒的な「動体視力」

わんちゃんは動く物体を捉える能力、つまり動体視力においても人間に優位性を持っています。

  • フリッカー値: わんちゃんの目は、人間よりも「ちらつき」(フリッカー値)を識別する能力が優れています。
    つまり、高速で動く物体を、人間よりも残像がなく、連続した動きとして認識できます。
  • 動く物体への感度: わんちゃんは静止している物体よりも、動いている物体に対して非常に高い感度を示します。
    遠く離れた場所でも、わずかな動きがあればそれを瞬時に察知し、獲物やボールを見つけることができます。

わんちゃんの、視覚に合わせた「環境づくりと遊び方」

愛犬のユニークな視覚特性を理解すれば、日々の生活環境や遊び方を最適化し、愛犬のQOL(生活の質)を高めることができます。

おもちゃ・道具の色の選び方

  • 芝生で遊ぶ場合: 芝生(緑色)はわんちゃんにとって黄色やグレーに見えます
    この背景に紛れて見つけにくい赤色緑色のおもちゃは避け、青色黄色、またはオレンジ色のおもちゃを選びましょう。
  • 視力の低下したシニア犬: 鮮やかな青色黄色の食器、リード、障害物などを選び、愛犬の安全と認識をサポートします。

訓練と環境の設計

  • 視覚刺激の活用: わんちゃんは動きに敏感なため、訓練の際は体を使ったジェスチャーや、動くターゲットを活用すると、指示を理解しやすくなります。
  • 夜間散歩の安全性: わんちゃんは夜間視力に優れていますが、人間側は暗闇での事故を避けるために、愛犬の体に反射材(青色や黄色)を付けたり、LEDライト付きの首輪を使用したりして、愛犬の位置を常に把握しましょう。

視界と安心感

  • 視野角: わんちゃんの視野角(約240度)は、人間(約180度)よりも広いです。
    しかし、両目で捉える範囲が狭いため、遠近感は人に劣ります。
  • 安心感の提供: 視界が広い分、予期せぬ動きに驚きやすいわんちゃんもいます。
    愛犬が休む場所(クレートなど)は、視界を限定できる、囲まれた場所にすることで、安心感を与えることができます。

まとめ:わんちゃんの視覚の「常識と真実」

能力の要素かつての常識科学的な真実生活への応用
色覚白黒の世界に見えている。を識別する二色型色覚おもちゃは黄色を選ぶ。
夜間視力人間と同じか、少し良い程度。人間より4〜5倍優れている(タペタム効果)。夜間散歩では反射材安全を確保。
動体視力特に優れてはいない。非常に優れており、動きを素早く察知する。訓練では大きなジェスチャーを活用する。

愛犬の視覚は、色を詳細に楽しむことよりも、「暗闇で獲物を探し、素早く動きを捉える」という生存戦略に特化して進化しました。

この驚異的な能力を理解し、愛犬の「見える世界」に合わせた環境と遊び方を提供することで、
愛犬の毎日の生活の質を向上させてあげましょうね。