
ブラッシングを始めると、すぐに逃げたり噛みついたりする…

毎日やっているつもりだけど、
気づいたら隠れた場所に毛玉ができていた…
愛犬にとってブラッシングは、見た目を整えるだけでなく、皮膚の健康を守り、病気の早期発見につながる極めて重要な日課です。
しかし、ブラッシング中に「痛み」や「拘束感」を感じてしまうと、わんちゃんはすぐにそれを嫌な記憶として結びつけ、お手入れ全体を拒否するようになってしまいます。
ブラッシングをサボると、抜け毛が皮膚に絡みつき、通気性が悪化し、皮膚炎や熱中症のリスクが高まります。
特に毛玉は、皮膚を引っ張り続けることで激しい痛みを与え、血行不良や壊死につながる危険性もあります。
この記事では、まずブラッシングが愛犬にもたらす科学的な3つの健康効果を解説します。
次に、毛玉を絶対に作らないための「正しい手順」と道具選びを詳述します。
そして最後に、愛犬の恐怖心を取り除き、ブラッシングを「リラックスできる愛情の時間」に
変えるための実践的なコツを徹底解説します。
ブラッシングが愛犬にもたらす「3大効果」
ブラッシングは、単に抜け毛を取り除くだけではなく、健康維持に直結する役割を担っています。
皮膚病の予防と早期発見
- 効果: 抜け毛を皮膚から除去することで、通気性を確保し、被毛内部の湿気を逃します。
これにより、蒸れによる細菌の繁殖を防ぎ、皮膚炎の予防になります。 - 早期発見: 飼い主が愛犬の体を隅々まで触ることで、しこり、腫れ、外傷、ノミ・ダニの寄生などを早期に発見できるチャンスが増えます。
体温調節と血行促進
- 効果: 絡まった毛や死毛(抜け毛)が残っていると、皮膚の代謝が妨げられ、
体温調節がうまくできません。
特にダブルコートの犬種は、換毛期に古い毛が残ると熱がこもりやすく、
夏場の熱中症リスクが高まります。 - マッサージ効果: ブラシの適度な刺激は、皮膚の血行を促進し、新陳代謝を高めるため、
健康な被毛の成長を促します。
愛犬との信頼関係の強化
- 効果: 優しくブラッシングされることで、愛犬は安心感と愛情を感じます。
これは立派なスキンシップであり、飼い主に対する信頼関係を築くための大切な
コミュニケーションの時間になります。
毛玉を作らない「正しいブラッシングの手順」
ブラッシングが嫌いになる原因の多くは、「毛玉を力任せに引っ張って痛い思いをさせること」
です。
正しい手順で、痛みを与えずにケアしましょう。
犬種別:適切なブラシの選択
| 被毛タイプ | 主に使用するブラシ | 目的 |
| 長毛・ダブルコート | スリッカーブラシ、 ピンブラシ | 絡みつきやすい下毛 (アンダーコート)や 毛玉をかき出す。 |
| 短毛・シングルコート | ラバーブラシ、獣毛ブラシ | 抜け毛を取り除き、 皮膚をマッサージする。 仕上げのツヤ出し。 |
| 共通 | コーム(櫛) | ブラッシング後のチェック、細かな毛玉の確認に使用。 |
ブラッシングの4ステップ
ブラッシングは、必ず毛の表面だけでなく、根元から行うのが鉄則です。
- 準備(コームチェック): ブラッシングを始める前に、全身をコーム(櫛)で軽く梳かし、
目立つ大きな毛玉がないかを確認します。 - スリッカーで根元から: スリッカーブラシ(またはピンブラシ)を軽く持ち、
皮膚に垂直ではなく、寝かせるように当てます。
毛を少量ずつ手で分け取りながら、毛の生えている方向に沿って、根元から毛先まで
優しく梳かします。 - 毛玉の処理(最重要): 毛玉を見つけたら、決して無理に引っ張らないこと。
指で毛玉の根元を押さえ、皮膚が引っ張られないように固定してから、
ブラシの先端やコームで少しずつ優しくほぐします。
ほぐれない毛玉は、ハサミで皮膚と平行に切り込みを入れ、再度ブラシで
優しくほぐしましょう。 - コームで仕上げ確認: 全身をブラシで終えた後、仕上げにコーム(櫛)で頭から尻尾、
足先まで、最後までスムーズにコームが通るか確認します。
ここで引っかかりがあれば、まだ毛玉が残っています。
ブラッシングを嫌がらない「脱感作のコツ」
愛犬の「痛み」と「拘束」に対する恐怖心を取り除くことが、成功の鍵です。
「ワンタッチ・ワントリート」の徹底
- 方法: ブラシを愛犬の体に一回当てるだけ(ワンタッチ)で、すぐに最高のご褒美
(ワントリート)を与えます。
これを繰り返すことで、「ブラシ=良いこと」というポジティブな連想を刷り込みます。 - レベルアップ: 慣れてきたら、「5秒間ブラシをかける」→「ご褒美」、「足先を持つ」→
「ご褒美」のように、時間や難易度を段階的に上げていきます。
リラックスできる環境設定
- 場所: 騒がしい場所ではなく、愛犬が普段からリラックスして過ごしている場所
(例:いつものベッドの上、静かなリビングの隅)で行います。 - タイミング: 愛犬が遊んで興奮している時や、お腹が空いている時は避け、食後や散歩後など、落ち着いている時間に行いましょう。
- 短い時間で終了: 嫌がる素振りを見せたら、無理に続けず、短時間で切り上げるのが
鉄則です。
「嫌な体験」をさせず、「良い体験」だけで終わらせることを最優先します。
敏感な部位への慣らし方
- 足先、顔、尻尾の付け根は、特にわんちゃんが触られるのを嫌がる部位です。
これらの部位は、ご褒美を愛犬の口元から離さず与え続けながら、最後にサッと触れる程度
から慣れさせていきましょう。
まとめ:ブラッシング成功の「3つの習慣」

| 成功の習慣 | 目的と効果 | 飼い主が守るべき行動 |
| 1. 毎日の習慣化 | 抜け毛と毛玉の蓄積を防ぎ、皮膚病を予防する。 | 短時間でいいので毎日行う。週に1回より、毎日5分が 効果的。 |
| 2. 痛みを与えない | ブラッシングへの恐怖心を 取り除く。 | 毛玉の根元を固定し、 決して引っ張らない。 ブラシを皮膚に立てない。 |
| 3. ポジティブな連想 | ブラッシングを 「愛情の時間」に変える。 | 「ワンタッチ・ワントリート」を徹底し、褒めてご褒美で 終わる。 |
ブラッシングは、愛犬とのコミュニケーションであり、健康チェックの機会でもあります。
嫌がる愛犬には、愛情と根気をもって「痛くない体験」を積み重ねてあげましょう。
それが、愛犬の皮膚と心の健康を守ることに繋がります。
これからも、このブログではわんちゃんを飼うための役立つ情報を発信していきますので、ぜひ参考にしてくださいね。


