
うちの子、あまり水を飲まない気がするけど、大丈夫かな?

水をたくさん飲むようになったのは、病気のサイン?
愛犬の飲水量は、飼い主さんが日常的にチェックすべき最も重要な健康バロメーターの一つです。
水分の摂取が不足すると、脱水症状を引き起こすだけでなく、熱中症、尿路結石、腎臓病など、
命に関わる深刻な病気のリスクを高めてしまいます。
逆に、急に大量の水を飲むようになるのも、糖尿病や腎不全などの病気のサインである可能性が
あります。
しかし、「適正な水分量」は、愛犬の体重や活動量、与えているフードの種類によって
細かく異なります。
この記事では、まず愛犬が1日に飲むべき「適正な水分量」を計算で明確にします。
次に、水不足(脱水)のサインを見極める方法と、愛犬が水を嫌がる原因を解明します。
そして、「水を飲まない」という悩みを解決するための、具体的な対処法を、食事・環境の両面から徹底解説します。
愛犬が1日に飲むべき「適正な水分量」の計算!
愛犬が必要とする水分量は、主に体重によって決まります。
この量をベースに、愛犬の活動量や体調に合わせて調整します。
基本の計算式(安静時)
わんちゃんが安静時に1日に必要とする水分量(ml)は、以下の計算式で求められます。
体重(kg)×40ml ~ 70ml
【計算例】体重10kgの健康なわんちゃんの場合:
- 最低量: 10kg ×40ml = 400ml
- 最大量: 10 kg×70ml = 700ml
- → 1日あたり400ml〜700mlが、食事以外で摂取すべき目安量となります。
計算式の補正:活動量とフードの種類
この基本量に加えて、以下の要因で必要な水分量は増加します。
| 要因 | 必要な水分量の変化 |
| 活動量が多い日 | 運動量に応じて、 基本量の1.5倍〜2倍以上必要。 |
| 暑い日・パンティングが多い日 | 体温調節のための水分消費が増え、 2倍以上になることも。 |
| フードの種類 | ウェットフード主体の場合、 飲水量は減少する。 ドライフード主体の場合、飲水量は増加する。 |
水不足(脱水)の「危険サイン」を見逃さない!
愛犬の水分摂取量が適正量に満たない場合、脱水症状の危険があります。
以下のサインを日常的にチェックしましょう。
皮膚の弾力性のチェック(スキン・テンティング)
- 方法: 愛犬の背中や首の付け根の皮膚を、指で軽くつまみ上げます。
- 正常な状態: つまんだ皮膚がすぐに(1〜2秒以内)元に戻ります。
- 脱水傾向: つまんだ皮膚がゆっくりと(3秒以上かけて)元に戻る、またはテント状に
残る場合、脱水が疑われます。
歯茎と粘膜のチェック
- 方法: 愛犬の唇をめくり、歯茎を指で軽く押します。
- 正常な状態: 押した部分がすぐにピンク色に戻ります(毛細血管再充満時間:
CRTが1〜2秒)。 - 脱水傾向: 押した部分がなかなかピンク色に戻らない(遅い)場合や、歯茎がベタつく、
または乾いている場合は、脱水のサインです。
その他のサイン
- 尿の量が減る、または尿の色が非常に濃くなる。
- 元気がない、ぐったりしている、食欲がない。
- 目の周りがくぼんで見える。
これらのサインが見られた場合は、重度の脱水である可能性があるため、
すぐに動物病院に連絡してください。
愛犬が水を飲まない「3つの原因」
愛犬が水をあまり飲まないのには、環境や体調に原因があることが多いです。
水の質や環境の問題
- ニオイ: 食器が汚れていたり、水が新鮮でなかったりすると、嗅覚の鋭いわんちゃんは
嫌がります。 - 置き場所: 賑やかな場所やトイレの近くなど、落ち着かない場所に水飲み場があると、
警戒して飲まないことがあります。 - 器の素材: プラスチック製の器はニオイがつきやすく、嫌がるわんちゃんもいます。
体調と活動量の問題
- 活動量不足: 運動量が少ないわんちゃんは、体温の上昇が少なく、
喉の渇きを感じにくいです。 - 食生活: ウェットフードや手作り食を多く与えている場合、食事から十分な水分を
摂取できているため、飲水量が自然と減ります。
加齢や病気の進行
- 加齢: シニア犬になると、喉の渇きを感じる機能(口渇中枢)が鈍くなり、
必要な水分量が飲めなくなることがあります。 - 痛み: 口内炎や歯周病など、口の中に痛みがあると、水を飲むことをためらうことが
あります。
水を飲ませるための「具体的な対処法」
愛犬に楽しく水を飲んでもらうために、すぐに試せる効果的な方法を紹介します。
水の質と環境を改善する
- 新鮮な水: 最低でも1日2回は水を交換し、食器を洗いましょう。
- 器の素材と清潔さ: 陶器製やステンレス製など、ニオイがつきにくい素材に変えてみる。
- 複数箇所設置: 家のあちこちに(リビング、寝床の近くなど)水飲み場を分散して設置し、
「いつでも飲める環境」を作ります。 - 水飲み場を変える: 意外な場所(静かな廊下など)に変えてみることで、
飲むようになる場合があります。
「水」を「美味しいもの」にする工夫
- ウェットフードの活用: ドライフードにウェットフードや缶詰の水分を混ぜて、
食事から水分を摂取させます。 - スープや出汁の活用: 水に鶏肉の茹で汁(無塩)や、犬用ミルクを少量混ぜて風味をつけ、
嗜好性を高めます。
ただし、カロリーオーバーに注意してください。 - 氷を与える: 氷を舐めさせることで、遊び感覚で水分を摂取させることができます。
- フードをふやかす: ドライフードをぬるま湯でふやかし、水分量を増やして与えます。
特にシニア犬は消化吸収にも良く、おすすめです。
給水器の種類を変えてみる
- 自動給水器: 常に水が循環し、新鮮で動いている状態を作ることで、遊び心から水を飲むようになるわんちゃんがいます。
まとめ:水分摂取量の「3つのチェックポイント」

| チェックポイント | 目的と確認事項 | 対処法 |
| 1. 適正量の把握 | 愛犬が1日何ml飲むべきかを知る。 | 体重kg×40〜70mlで目安量を計算する。 |
| 2. 脱水サインのチェック | 水分不足による危険を 早期に察知する。 | 皮膚の弾力性、歯茎の粘膜を毎日チェックする。 |
| 3. 飲水習慣の改善 | 水を嫌がる原因を取り除く。 | 水と器の清潔さを保ち、 フードに水分を加えたり、 風味をつけたりする工夫を する。 |
愛犬が水を飲まないという悩みは、ちょっとした工夫や環境の変化で解決することが多いです。
この記事を参考に、愛犬の飲水量を意識的にチェックし、水を飲む習慣をサポートして、
健康な毎日を送れるようにしましょう。


